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RACIチャートとは?各役割の違いや作成方法と導入のメリット・注意点を解説!

RACIチャートとは、プロジェクトのタスクにおける各メンバーの責任と4つの役割(実行責任者、説明責任者、相談先、報告先)を整理する際に利用する表です。本記事では、RACIチャートで定義する各役割の違いや作成方法、導入のメリット・注意点を丁寧に解説します。

目次

  1. RACIチャートとは
  2. RACIそれぞれの役割
  3. RACIチャートの作成方法
  4. RACIチャートのメリット
  5. RACIチャートの注意点
  6. RACIに役割が追加されるケース
  7. RACIチャートまとめ

RACIチャートとは

RACI(レイシー)チャートとは、プロジェクトにおける各メンバーの責任や役割を整理するために利用される手法です。

RACIは、以下4つの役割を表す単語の頭文字をとって名付けられました。

  • Responsible(実行責任者)
  • Accountable(説明責任者)
  • Consulted(相談先)
  • Informed(報告先)

RACIチャートでは通常、横軸にプロジェクトにおけるアクティビティ(作業)を記載し、縦軸にプロジェクトメンバーを記載したマトリクス形式で作成します。

そして、マトリクス表の各マス目に、該当するメンバーの役割を役割名の頭文字(R、A、C、I)で記入し、整理します。

大規模なプロジェクトほどプロジェクトの関係者が多く、関係者間の役割や責任があいまいなケースがあるのではないでしょうか。

RACIチャートを作成し、アクティビティに対する責任者や相談先などを事前に定義しておくことで、重大な意思決定をする時やトラブル対応時にスムーズに対応できるでしょう。

RACIそれぞれの役割

続いて、Responsible、Accountable、Consulted、Informedの役割を解説します。

Responsible(実行責任者)の役割

RACIチャートにおけるResponsible(実行責任者)は、プロジェクトにおけるタスクの実行に責任をもつ役割です。タスクの実行者にあたります。

また、説明責任者に対しプロジェクトの進捗を報告し、説明責任者がタスクの進捗や課題を説明できるように支援する役割です。

実行責任者はタスクを遂行するにあたって不明点や課題がある場合、相談先に相談して進めます。

実行責任者の定義は2パターンあります。

  1. タスクの実行者は全員当該タスクに対して責任をもつと考えて、タスクを実施する者全員を実行責任者として定義する方法
  2. タスクを実施する者のうち、主担当にあたる1名を実行責任者として定義する方法

RACIチャートを作成する際は、どちらの定義で役割分担をするか事前に決めましょう。

Accountable(説明責任者)の役割

RACIチャートにおけるAccountable(説明責任者)は、プロジェクトのステークホルダー(利害関係者)に対して、プロジェクトの進捗や課題を説明する責任をもつ役割です。各タスクの管理者とも言えます。

利害関係者とは、プロジェクトオーナーやクライアント、自社の経営者など、プロジェクトに直接的あるいは間接的に関係がある人たちを指します。

説明責任者は、プロジェクトの進捗を利害関係者たちに正確に報告できるように、実行責任者と密に連携してタイムリーにプロジェクトの状況を把握しておく必要があります。

責任の所在を明確にしておくために、説明責任者はタスクごとに1名選びましょう。なお、プロジェクトによっては実行責任者が説明責任者を兼ねることもあります。

Consulted(相談先)の役割

RACIチャートにおけるConsulted(相談先)は、プロジェクトを実施する中で見つかった不明点や課題に関する相談先となる役割です。

実行責任者だけでは解決が難しい問題や課題に対してアドバイスしたり、解決に向けてサポートをしたりします。

相談先はプロジェクトが行き詰まったときのお助け役のような役割のため、プロジェクトの実施経験やプロジェクトに関連する専門知識が豊富な人が務めます。

RACIチャートを作成して相談先となる人の連絡先を整理しておくことで、トラブルが発生した際にタスクの実行者と相談先がスムーズに連携できるというメリットがあるでしょう。

Informed(報告先)の役割

RACIチャートにおけるInformed(報告先)は、プロジェクトの状況報告や作成物の連携を受ける役割です。

多くの場合、説明責任者が報告先に対してプロジェクト状況などを説明します。報告内容に関して不明点や意見がある場合は、説明責任者に対して説明を求めます。

報告先を事前に整理しておくことで、重要な意思決定が行われた時やトラブルが発生した時などに、漏れなく必要な関係者とコミュニケーションをとり連携することができるでしょう。

RACIチャートの作成方法

ここまでRACIチャートの肝である、4つの役割について説明しました。続いて、4つの役割分担をチャート形式で表すRACIチャートの作成方法を説明します。

タスクの洗い出しとメンバーの特定

RACIチャートは縦軸にプロジェクトのタスク、横軸にプロジェクトメンバーを記載し、タスクごとにメンバーの役割をR、A、C、Iのアルファベットで記載します。

まずはRACIチャートの縦軸を作成するために、プロジェクトにおけるタスクを洗い出しましょうタスクをひと通り洗い出したら、実施する順番ごとなどに並び替えて、管理しやすいように整理します。

また、RACIチャートの横軸を作成するためにプロジェクトメンバーを洗い出しましょう。

メンバーを洗い出す際の注意点として、タスクを実施するメンバーだけでなく、課題やトラブル発生時の相談役やプロジェクト状況の報告先となる関係者も特定します。

メンバーのRACIの役割を決める

縦軸にタスク、横軸にメンバーを記載したRACIチャートが作成できたら、メンバーごとに役割(R:実行責任者、A:説明責任者、C:相談先、I:報告先)を決めます。

役割を決めたら、メンバーの列に役割名の頭文字(R、A、C、I)を記載しましょう。同一メンバーが役割を兼務する場合は、「R/A」のようにスラッシュで区切って記載してください。

注意点として、責任の所在があいまいになって混乱を招くことを防ぐために、説明責任者は1人に限定して割り当てましょう。

RACIの公表による情報共有

RACIチャートの作成が完了したら、プロジェクト全体に公表しましょう。

必要に応じて会議内でRACIチャートを読み合わせし、メンバーが自身に割り当てられた役割を意識してプロジェクトを推進できるように情報共有します。

情報公表の継続

RACIチャートを作成したものの活用されずに終わらないように、継続して情報を公開・更新しましょう。

特に、プロジェクトでの課題やトラブル発生時は、RACIチャートを見直すよい機会です。RACIチャートに定義した役割分担に則り、しかるべき相談先に相談したり報告先に情報連携したりしましょう。

RACIチャートのメリット

プロジェクト実施時にRACIチャートを作成するメリットはなんでしょうか。こちらでは、主なメリットを3つ説明します。

責任・役割・スケジュールの明確化

RACIチャート作成の大きなメリットは、プロジェクトにおける責任の所在や各メンバーの役割、スケジュールの明確化に役立つ点です。

特に、トラブルが発生した時に備えて、責任や役割を明確化しておくことは非常に重要です。

責任者が明確になっていない場合、トラブル対応の指揮を誰が行うか、誰が誰に対して状況を説明する必要があるかなどの整理に時間がかかり、円滑にトラブル対応を行えないかもしれません。

また、重要な意思決定を行う場合、誰が説明するか(説明責任者)、承認を得るためには誰に報告すべきか(報告先)などを整理しておかないと、意思決定に時間がかかったり、後から追加説明を求められて手戻りが発生したりしかねません。

プロジェクトの規模が大きく関係者が多いケースほど、RACIチャートを活用して役割分担と責任の所在を事前に定義しておくことで、円滑にプロジェクトを運営できるでしょう。

人材リソースが確保しやすい

RACIチャートの作成は、プロジェクトの人材リソースを確保しやすい点がメリットです。

RACIチャートを作成する場合、チャートに記載するメンバーに対しては事前に定義した役割を担ってもらうよう調整します。

したがって、プロジェクトの実行者の確保はもちろん、トラブル発生時に相談先に相談したり、重要な意思決定時に報告先に報告したりといった作業に対しても、リソースを確保してもらいやすくなるでしょう。

スケジュール策定の円滑化

RACIチャートの作成は、スケジュール策定を円滑化させるというメリットもあります。

RACIチャートの作成でタスクを洗い出し、関係者を洗い出す中で、プロジェクトの流れや合意形成すべき相手とタイミングなども整理されていきます。

そのため、RACIチャートはプロジェクト全体のスケジュール策定の材料として有効活用できるでしょう。

RACIチャートの注意点

RACIチャートの作成は、プロジェクトの推進にあたって有用ですが、作成・活用にあたりいくつか注意点があります。こちらでは、RACIチャートに関する注意点を6つ説明します。

詳細情報の記載が難しい

RACIチャートは、タスクごとの実行責任者(R)、説明責任者(A)、相談先(C)、報告先(I)を整理したシンプルな表です。

そのため、プロジェクトにおいて各役割が具体的に何をすることを求められているのか、どういった責任を負うのかといった情報は記載されません。

また、RACIチャートでは通常大きい粒度でタスクを記載するため、RACIチャートからタスクの詳細な情報は分からず、実行責任者が具体的にどんな作業に対して責任を持つのかが分かりません。

RACIチャートから役割やタスクの詳細は読み取れないという注意点を踏まえ、別紙で整理したり、会議の中で認識を合わせたりすることで、補うようにするとよいでしょう。

タスクの分類粒度の統一が必要

RACIチャート作成の注意点として、縦軸に記載するタスクの分類粒度は統一する必要があります。

タスクの粒度が異なっていると、責任範囲が重複したり、抜け漏れが発生したりしてメンバーが混乱する可能性があるため注意しましょう。

例えば、システムを開発するプロジェクトのタスクを大きな粒度で表すと「要件定義、設計、構築、テスト、展開」となります。

これをRACIチャートにする際に、「要件定義、設計、構築、単体テスト、結合テスト、総合テスト、ユーザー受入テスト、展開」のように、一部の工程(テスト工程)だけ細かい粒度で記載するのは望ましくありません。

定期的なアップデートが必要

RACIチャートは一度作成したら終わりではありません。注意点として、定期的にアップデートをする必要があるという点を意識しましょう。

最初に定義したタスク内容や役割分担が最後まで変わらないプロジェクトは、あまりないのではないでしょうか。

途中でプロジェクトメンバーが増減したり、タスク内容や実行責任者が変わったりした場合は、忘れずにRACIチャートをアップデートしましょう。

適用範囲のルール化が必要

プロジェクトの規模が大きかったり関係者が多かったりする場合、すべてのタスクやメンバーを洗い出そうとするとRACIチャートが複雑になって、かえって管理しづらくなる可能性があります。

こうしたケースにおける注意点として、適用範囲をルール化してからRACIチャートを作成する必要があります。

例えば、横軸のメンバーは社内メンバーに限り社外の関係者は別途整理する、タスクはプロジェクトの前半フェーズのみ洗い出し後半フェーズは別紙に整理するといった方法が考えられます。

リアルタイムの変更や対応が難しい

RACIチャートは、タイムリーに変更を行うことが難しい点も注意点です。

プロジェクトにおいてタスク管理は通常WBSやガントチャートなどを用いて行います。

タスクの内容や担当者が変わった場合は、WBSやガントチャートなどを更新するでしょう。RACIチャートは、こうした変更をリアルタイムで反映することが難しいです。

変更が発生した場合RACIチャートに影響があるドキュメント(WBSやガントチャート等)を事前に整理しておき、ドキュメント間の整合性がとれるように定期的に見直す習慣をつけるとよいでしょう。

RACIにならないメンバーは可視化できない

RACIの役割をもつメンバー以外は、RACIチャートで可視化されない点も大きな注意点です。

プロジェクトには、実行責任者や説明責任者のような責任を負わないがタスクの実行者であるメンバーや、特定の場面でタスクをサポートする支援者など、様々なステークホルダーが存在します。

こうした本来プロジェクト実施時には整理しておくべき他の役割について、考慮が漏れてしまう点には留意が必要です。

こうした抜け漏れを防ぐために、次に説明する「RACIに役割が追加されるケース」で説明する役割も必要に応じてRACIチャートに追加して管理するとよいでしょう。

RACIに役割が追加されるケース

RACIチャートは通常、実行責任者(R)、説明責任者(A)、相談先(C)、報告先(I)のみを定義するため、他の役割は定義されません。

一方で、プロジェクトの実施には他の役割も必要なケースがあるため、こちらではRACIチャートに追加することがある役割について説明します。

Facilitator(ファシリテーター)

Facilitator(ファシリテーター)は、プロジェクトが効率的かつ建設的に進むように会議やタスクの実行を支援する役割です。

実行責任者は、会議やタスクの実施・完了に責任を負いますが、ファシリテーターはあくまで円滑に進むようサポートするという立ち位置です。

具体的な作業例として、会議の進行役を務め、会議で建設的な議論がされるように誘導したり、議論を整理して合意形成までの流れを作ったりといったことがあげられます。

Supportive(サポーター)

Supportive(サポーター)は、タスクの実施を支援する役割です。

プロジェクトを推進するにあたり、RACIチャートで役割を割り当てたメンバーだけでは手が回らない部分や、経験や知識の観点でフォローが必要な部分などを補助的に支援します。

例として、タスクのうち特に専門性が求められる部分についてアドバイスしたり、プロジェクト管理業務を支援したりします。

Verifies(検証者)

Verifies(検証者)は、プロジェクトが良好に進行していることや各タスクが問題なく完了したことをチェックする役割です。プロジェクトの監査役にあたります。

プロジェクトの作成物の品質を確認したり、意思決定の結果やプロジェクトの進捗状況、方針などが良好かを評価したりします。

注意点として、検証者は適切にプロジェクトを評価するために、第三者のような立場である必要があります。

実行責任者や説明責任者などプロジェクトに直接的に利害関係がある人ではなく、客観的にプロジェクトを監査できる人を指名しましょう。

RACIチャートの類似チャート

RACIチャートのような方法で、プロジェクトにおける各メンバーの役割や責任などを整理するチャートはいくつか存在します。

こちらでは、RACIチャートの類似チャートを4つ紹介します。プロジェクトのニーズに合ったものを選んで活用しましょう。

RASIC

RASICチャートは、RACIチャートにSupportive(サポーター)を加えたチャートです。

実行責任者によるタスク実施を支援する役割として、サポーターを定義します。

RACI-VS

RACI-VSチャートは、RACIチャートにVerifies(検証者)とSigns off(承認者)を加えたチャートです。

Verifies(検証者)は、作成物の品質やプロジェクトにおける判断が適切な水準にあるかチェックします。

Signs off(承認者)は、Verifies(検証者)による評価結果をもとに、次のフェーズに進めて良いか、結果を承認するかの最終的な判断を下します。

CAIRO

CAIROは、RACIにO(部外者)を加えたチャートです。

あえてO(部外者)を明確に定義することで、利害関係の調整や会議の招集の際に不要なメンバーまで巻き込むことを防げます。

DACI

DACIは、DACIフレームワークやDACIモデルと呼ばれる、意思決定に焦点をあてた役割分担の手法です。DACIはそれぞれ以下の役割を示します。

  • Driver:意思決定に向けてチームを推進する役割
  • Approver:意思決定を承認する最終判断者の役割
  • Contributors:よりよい意思決定をするために知識や経験をもって協力する役割
  • Informed:意思決定に向けたタスクの進捗や意思決定の結果について報告を受ける役割

RACIチャートまとめ

RACIチャートとは、プロジェクト内のタスクにおける各メンバーの責任と役割を整理するための手法です。RACIは4つの役割を表しており、Responsible(実行責任者)、Accountable(説明責任者)、Consulted(相談先)、Informed(報告先)から成ります。

RACIチャート作成のメリットは、責任と役割の明確化、人材リソースの確保、スケジュール策定が容易になる点です。

ただし、詳細なタスク内容の把握や、リアルタイムな変更対応が難しいといった注意点があります。

また、RACIだけでは役割が不足するケースもあるため、プロジェクトの規模や状況に応じてRASICやRACI-VSなど類似チャートの活用を検討することが重要です。

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