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ファストトラッキングとは?クラッシングとの違いやメリットと注意点を解説!

ファストトラッキングとは、プロジェクト管理においてスケジュールを短縮するために用いられる手法です。本記事では、ファストトラッキングのメリット・デメリット、利用時の注意点を解説します。また、同じくスケジュール管理手法の一種であるクラッシングとの違いを説明します。

目次

  1. ファストトラッキングとは
  2. ファストトラッキングとクラッシングの違い
  3. ファストトラッキングとクラッシングのメリット・デメリット
  4. ファストトラッキングの注意点
  5. ファストトラッキングまとめ

ファストトラッキングとは

ファストトラッキング(Fast Tracking)とは、トラブル発生などによってプロジェクトが遅延するリスクがある場合に、遅延を防ぐためにとるスケジュール管理手法の一種です。

本来は別の時期に実施を計画していたタスクを、同時並行で行うスケジュールに組み替えることによって、スケジュールを短縮し期限に間に合わせます。

ファストトラッキングは、どのような場面においても使えるスケジュール短縮の手法ではありません。タスク間に依存関係がなく並行実施できるタスクが存在する場合において、ファストトラッキングの手法でスケジュールを再調整できます。

ファストトラッキングとクラッシングの違い

プロジェクトで遅延が発生しそうな場合にとれる手法として、ファストトラッキングと並んで代表的なものが「クラッシング」です。

ファストトラッキングとクラッシングの違いと、場面に応じた使い分け方を紹介します。

クラッシングとは

クラッシングは、ファストトラッキングと同様にスケジュールを短縮させる手法です。

ファストトラッキングとは違い、元の計画に対してリソースを追加することによって、スケジュールを短縮し期限に間に合わせます。

リソースとは、人的資源、あるいは時間です。

人的資源を追加するとは、臨時でプロジェクトメンバーを増員するといった手段です。時間を追加するとは、プロジェクトメンバーの数は増やさずに、残業によって一人あたりの作業時間を増やす手段などを指します。

ファストトラッキングとクラッシングの違い

ファストトラッキングとクラッシングは、双方ともにプロジェクトに遅延リスクがある際に遅延対策として行う手法である点で同じです。

違いは、スケジュールを短縮させる方法にあります。

ファストトラッキングはタスクの実施順序を変更することによってスケジュールを短縮し、クラッシングはリソースを追加することによってスケジュールを短縮するという違いです。

どちらの手法も万能ではなく、場面によって適切な手法を選ぶ必要があります。そこで、適切な手法を選ぶための考え方を説明します。

選ぶ時の考え方

ファストトラッキングとクラッシングは、どのように使い分ければよいでしょうか。

追加予算を組めない場合はファストトラッキング

まずは、追加予算を組めるか確認しましょう。クラッシングはリソースを追加するため、追加予算が必要です。

そのため、追加予算を積める、あるいはプロジェクトの収益が減ることを許容してでもリソースの追加が承認される場合はクラッシングを選び、そうでない場合はファストトラッキングによるスケジュール調整が望ましいです。

また、そもそもリソースを追加できる見込みがない場合は、ファストトラッキングによる遅延のリカバリが必要でしょう。

具体的には、追加要員が確保できない、既存のプロジェクトメンバーの稼働状況に余裕がないといったケースは、ファストトラッキングの適用を検討すべきでしょう。

納期とクオリティ重視の場合はクラッシング

追加予算を組める場合は、クラッシングのほうが望ましいです。

理由として、ファストトラッキングとは違い、当初の予定通りの順番でタスクを実施できるため、タスクの並行実施による手戻り発生や品質低下などを防ぐことができるからです。

プロジェクトの計画策定時に、依存関係がないタスクは最初から並行実施する予定でスケジュールを組んでいることも多いでしょう。

そのため最初の計画時点で、ファストトラッキングによるスケジュールの短縮余地がさほどないケースもあります。このようなタスクの組み替えが難しい場合も、クラッシングによるプロジェクトのリカバリが望まれます。

ファストトラッキングとクラッシングのメリット・デメリット

ファストトラッキングとクラッシングは、それぞれメリットとデメリットに違いがあります。こちらでは、それぞれの手法を選ぶ際に留意すべきメリットとデメリットを説明します。

ファストトラッキングのメリット

ファストトラッキングの大きなメリットは、追加の予算をかけずに対応できる点です。

ファストトラッキングはクラッシングと違い、既存のリソースをやりくりしながらタスクの実施順序を変更することでリカバリを図るためです。

ファストトラッキングのデメリット

一方で、ファストトラッキングのデメリットは、タスクの手戻りが発生する可能性がある点です。

当初順番に実施する計画だったタスクを並行実施に変更するため、前工程の想定だったタスクで問題が発生したときに、並行実施している後工程の想定だったタスクで手戻りが発生するリスクが高まります。

タスクの手戻りが発生すると、結果としてスケジュールの短縮ができず、さらなる遅延につながる恐れがあります。

また、作業の品質が低下する可能性がある点もデメリットです。

当初の計画では一つのタスクに集中できたところを、複数タスクの並行実施に変更するため、各タスクにかける作業時間が減り、結果として作業の品質が低下するリスクがあります。

クラッシングのメリット

クラッシングは、ファストトラッキングと違いリソースを追加するため、品質が低下するリスクを抑えられる点が大きなメリットです。

クラッシングの場合、当初の計画通りあるいはそれ以上に、遅延リスクがあるタスクにリソースを割り当てるため、作業の品質を低下させずに納期に間に合わせることができるでしょう。

クラッシングのデメリット

クラッシングのデメリットは、追加予算が必要なことです。

組織において、追加要員の確保が困難であったり、既存のプロジェクトメンバーがそれ以上作業時間の確保ができなかったりする場合、クラッシングは難しいです。

要員は確保できるものの追加予算が確保できない場合は、プロジェクトの収益が減ることを許容してリソースを追加することになります。

また、対象のプロジェクトに対して知見がない、あるいはスキル不十分な要員をいれてしまうと、追加要員に対する情報共有やフォローに時間を要してしまいます。

要員を追加する場合は適切な人材を選ばないと、結果としてスケジュールの短縮ができない可能性があるという点もデメリットです。

ファストトラッキングの注意点

ファストトラッキングはプロジェクトのスケジュール短縮に有効ですが、ファストトラッキングの手法を選ぶ際に意識すべき注意点がいくつかあります。

最後に、ファストトラッキングを適用する際の注意点について説明します。

クリティカルパスの状況確認

まずは、ファストトラッキングを適用する前に、プロジェクト上のクリティカルパスを確認しましょう。

「クリティカルパス」とは、プロジェクトにおけるタスク全体のうちもっとも時間を要するタスクを結んだスケジュールの経路です。

クリティカルパス上でタスクの遅延が発生した場合、それはプロジェクト全体の遅延を意味します。まずは遅延が想定されるタスクが、クリティカルパス上にあるか確認しましょう。

注意点として、クリティカルパス上にない場合は、遅延してもプロジェクト全体の納期には影響がないケースがあります。

タスクがクリティカルパス上にある場合は、他のタスクとの依存関係を確認し、並行実施できるタスクの組み合わせがあるか検討しましょう。

スケジュール調整は必須

ファストトラッキングにおいて、プロジェクトのスケジュール調整が必須です。

スケジュール調整のために、ガントチャートなどの可視化ツールを使うことをおすすめします。ガントチャートは、タスクのスケジュールを棒グラフ形式で可視化する手法です。

タスクをグラフ形式で可視化することで、タスク間の依存関係がわかりやすく、どのタスクであれば並行実施が可能かを効率よく整理することができます。

タスク管理の徹底

スケジュールを短縮した場合、当初の計画よりもひっ迫したスケジュールになることが多いです。あるいは、タスクの並行実施によってメンバーの負荷が高まり、結果として各作業の品質が落ちることがあり得ます。

そのため、プロジェクトの進捗管理、および品質管理を徹底して行いましょう。

また、異なるメンバーがタスクの並行実施を行う場合、タイムリーにメンバー間の連携が図れるように管理する必要があります。情報連携を怠ることで、タスクの手戻りが発生したり、品質にばらつきがでたりする可能性があります。

必要不可欠な要素の把握

ファストトラッキングの注意点として、いきなりスケジュールを調整するのではなく、事前に以下の調整に必要不可欠な要素を把握しましょう。

  • スケジュールを短縮する日数:ファストトラッキングで短縮できる日数にも限度があることを踏まえ、遅延の程度を把握しましょう。
  • 追加リソース(要員や予算)の確保可否:リソースが追加できる場合は、クラッシングによるスケジュール調整も検討しましょう。
  • 既存メンバーの稼働状況:メンバーの作業負荷を踏まえ、現実的にタスクの並行実施が可能かチーム内で認識合わせが必要です。
  • タスク間の依存関係:依存関係があるタスク同士は、並行実施できないため注意してください。

他の工程への影響を検討

ファストトラッキングの場合、並行で実施するタスク間に依存関係がないか確認しましょう。依存関係があるタスク同士は、前提となるタスクが完了しない限り後続のタスクに着手できないため、並行実施の対象にできません。

また、ファストトラッキングにてスケジュールを調整した場合、プロジェクトスケジュールを見直し、他に影響がある工程がないか確認しましょう。

メンバーのモチベーションの把握

ファストトラッキングやクラッシングによってプロジェクトのスケジュール調整を行った場合の注意点として、より一層プロジェクトメンバーのモチベーションに気を配る必要があります。

ファストトラッキングによる遅延のリカバリを図る場合、当初の計画にはないタイミングでタスクを並行実施することになります。また、クラッシングとは違いリソースの追加を行わないため、既存のプロジェクトメンバーの負荷が高まります。

チームがモチベーションを保ってリカバリに専念できるように、プロジェクトマネージャーはメンバーの労働管理を怠らず、積極的にメンバーをフォローしましょう。

メンバーへの作業負荷の考察

ファストトラッキングを行う際は、メンバーへの作業負荷を適切に見積もる必要がある点も注意点です。

タスク間に依存関係がなくスケジュール上並行実施が可能か確認するだけでなく、メンバーの作業負荷を考慮したときに現実的に並行実施が可能かという観点ももって、スケジュールを調整しましょう。

ファストトラッキングまとめ

ファストトラッキングは、納期が遅れるリスクが生じた時に、複数のタスクを同時並行で実施するようにタスクの実施順序を組み替えることで、スケジュール短縮を図る手法です。

同じくプロジェクトのスケジュール管理手法であるクラッシングは、追加リソース(予算・人員)を投入することでスケジュール短縮を図るという違いがあります。

ファストトラッキングを使うメリットは、追加予算をかけずにスケジュールの短縮を図れる点です。

一方で、ファストトラッキングはタスク同士に依存関係がない場合に限られる点や、品質低下のリスクがある点には注意が必要です。

プロジェクトで遅延が発生した場合は、プロジェクト予算やリソースの余力、メンバーの作業負荷などを考慮して、ファストトラッキングあるいはクラッシングいずれか適切な方法で、遅延のリカバリを計画しましょう。

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