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タイムシートテンプレート完全ガイド!Excel・Googleスプレッドシートの無料活用と自作法
タイムシートテンプレートの選び方や作り方を専門家が徹底解説します。ExcelやGoogleスプレッドシートを活用した無料の管理方法から、計算ミスを防ぐ関数テクニック、さらには法的根拠に基づいた必須項目まで網羅しました。効率的な工数管理を実現したいフリーランスや人事担当者必見のガイドです。
目次
日々の業務時間を記録するタイムシートは、単なる勤怠管理の道具ではありません。適切なプロジェクト運営や正確な給与計算、そしてフリーランスにとっては報酬請求の正当性を示す証明書として機能します。しかし、自社の運用に最適なテンプレートが見つからなかったり、自作したものの計算式が複雑で維持できなかったりといった悩みを抱える担当者は少なくありません。
本記事では、ExcelやGoogleスプレッドシートで即座に活用できるタイムシートのテンプレートについて、その種類や選び方を詳しく紹介します。また、法改正に対応するための必須項目や、集計を自動化する関数テクニック、さらには運用が限界に達した際のシステム移行の判断基準まで具体的に解説します。
タイムシートとは?役割と導入メリット
タイムシートとは、いつ、誰が、どの業務に、どれだけの時間を費やしたのかを記録するための帳票を指します。多くの職場では出勤簿や勤務表と混同されがちですが、タイムシートの最大の特徴は「業務内容の内訳」まで可視化できる点にあります。
タイムシートを導入することで得られる主なメリットは以下の通りです。
労働基準法に則った正確な労働時間の把握と記録
業務ごとの工数を可視化することによる生産性分析
外部パートナーやクライアントに対する稼働実績の証明
これらの要素を積み重ねることで、組織全体のガバナンス強化とコスト意識の向上が期待できます。
給与計算と法的根拠(労働時間の把握)
労働基準法における労働時間の適正な把握は、企業が果たすべき最も基本的な義務の一つです。厚生労働省のガイドラインでも、使用者は労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録することが求められています。
タイムシートは、この「客観的な記録」としての役割を担うため、非常に重要な書類となります。単に「1日8時間働いた」という自己申告だけではなく、具体的な時刻を日々記録することで、残業代の計算根拠を明確にできます。これにより、意図しない未払い賃金トラブルや過重労働の見落としを防ぎ、健全な職場環境を維持することに繋がります。
プロジェクト収支と原価管理の精度向上
製造業やシステム開発、クリエイティブ業界などでは、人件費が原価の大部分を占めるため、プロジェクトごとの工数管理が収支に直結します。タイムシートによって「案件Aに50時間」「案件Bに30時間」といったデータが蓄積されると、初めて正確な営業利益の算出が可能になります。
もしタイムシートによる管理を怠れば、どの仕事が利益を生んでいて、どの仕事が赤字になっているのかを判断できません。過去のプロジェクトにかかった実績時間を分析することで、次回の見積もり精度が高まり、無理のない適切な価格交渉を行えるようになるのです。感覚に頼らないデータ主導の経営を実現するためには、タイムシートから得られる工数情報は欠かせない資産となります。
クライアントへの請求根拠(フリーランス向け)
準委任契約や時給制で動くフリーランスにとって、タイムシートは成果物と同等、あるいはそれ以上に重要な意味を持ちます。クライアントに対して「今月はこれだけの作業を行いました」と報告する際、タイムシートがなければ請求金額の妥当性を証明できません。
作業日、開始時間、終了時間、そして具体的なタスク内容を1行ずつ丁寧に記しておくことで、顧客側も納得して支払いに応じることができます。また、作業の透明性を確保することは、専門家としての誠実さを示す絶好の機会でもあります。信頼関係の構築を盤石にするためにも、細かな休憩時間まで含めた正確な記録を継続することが、自身の報酬を守ることに繋がるのです。
用途別タイムシートの種類と選び方
タイムシートには多様な形式が存在し、管理の目的や対象者によって最適なフォーマットは異なります。使い勝手の悪いテンプレートを無理に運用すると、入力の不備や形骸化を招く原因となりかねません。
用途に合わせた主なタイムシートの種類は次の3つに分類されます。
給与計算を主目的としたマンスリータイプ
プロジェクトごとの損益を重視したタスクベース
短期間の報告や特定の現場向けのウィークリータイプ
これらの特徴を理解し、自社の業務フローに最も馴染むものを選別することが、スムーズな運用を維持する秘訣となります。
勤怠管理用(マンスリータイプ)
1ヶ月の労働サイクルを1枚のシートで管理するマンスリータイプは、日本の企業で最も広く採用されている形式です。給与計算の締め日に合わせて集計を行うため、経理や人事部門にとって非常に扱いやすいという特徴があります。
この形式のテンプレートを選ぶ際は、休日出勤や深夜労働の時間を自動で集計できる欄が備わっているかを確認してください。また、有給休暇や特別休暇の取得日数が一目でわかるようになっていると、管理の負担が大幅に軽減されます。「1ヶ月の総労働時間を一括で把握する」ことに特化しているため、工数管理よりも法的な勤怠記録を優先したい組織に適しています。
プロジェクト工数管理用(タスクベース)
複数の案件を並行して進める職種において、タスクベースのタイムシートは工数の「中身」を分析するために利用されます。1日の合計時間だけでなく、どの顧客のどのフェーズに何時間費やしたかを詳細に書き込む設計になっています。
例えば、資料作成に2時間、会議に1時間、移動に1時間といった内訳を記録することで、ムダな業務の発見に役立ちます。このテンプレートは、原価計算やプロジェクトごとの生産性評価を行う際に威力を発揮します。「何に時間を使ったか」を解明することに重点を置いているため、コンサルティング業務やエンジニア、デザイナーといった専門職の管理に最適と言えます。
スポット・週報用(ウィークリータイプ)
派遣社員やアルバイト、あるいは短期間のプロジェクトメンバーを管理する場合、1週間単位のウィークリータイプが便利です。月単位よりも報告頻度が高いため、現場の状況をタイムリーに把握でき、コミュニケーション不足を補う役割も果たします。
週報としての機能を兼ねていることが多く、各日の特記事項や進捗状況を記載する備考欄が広く取られているのが一般的です。これにより、マネージャーは週末にまとめて稼働実績を確認し、翌週の指示出しへ迅速に反映させることができます。短期的な予実管理と迅速なフィードバックを行いたい場合において、この形式は非常に有効な選択肢となります。
Excel・Googleスプレッドシートでの活用術
表計算ソフトを用いたタイムシートの運用は、多くの企業にとって最初に着手すべき合理的な方法です。特別なソフトウェアを購入する必要がなく、既存のPCスキルだけで運用を開始できるため、導入のハードルが極めて低いからです。
Excelやスプレッドシートでタイムシートを運用する際の実践的な手法を以下に挙げます。
Googleスプレッドシートによるリアルタイム共有
Googleスプレッドシートをタイムシートとして利用する最大の魅力は、全てのデータがクラウド上で一元管理される点にあります。個別のファイルをメールで送受信する必要がなく、共有設定一つでチーム全員が同じシートへアクセスできるようになります。
これにより、月末に集計担当者が「全員分のファイルを回収して一つにまとめる」という膨大な作業から解放されます。また、入力忘れや誤字があった際も、管理者がその場で指摘や修正を行えるため、データの鮮度が保たれやすくなります。「情報の同期漏れを物理的に排除できる」という特性は、リモートワークや複数の拠点を持つチームにおいて、運営を円滑にする強力な助けとなります。
Excelテンプレートのカスタマイズ(祝日対応)
Excelでタイムシートを運用する場合、自社の就業規則やカレンダーに合わせて柔軟に作り込める点が優れています。特に、祝日の判定を自動化させるカスタマイズを施すと、毎月の入力作業が劇的に楽になります。
具体的には、別のシートに祝日リストを作成しておき、VLOOKUP関数やCOUNTIF関数を組み合わせて、日付が祝日に該当するかを判定させます。さらに「条件付き書式」を設定すれば、祝日の行を自動で赤色に塗りつぶすといった視覚的な工夫も容易です。「手動での設定箇所を極限まで減らす」ような設計を施すことで、人為的な計算ミスや休日出勤の記録漏れを未然に防ぎ、正確なデータを維持できます。
PDF・手書き運用のメリット・デメリット
PC環境が整っていない現場や、サインを物理的に受領する必要があるケースでは、PDFを印刷した手書きのタイムシートが使われます。直感的に記入でき、その場ですぐに証跡を残せるという手軽さは、紙媒体ならではの利点です。
しかし、手書き運用には、後から集計する際の入力負担や、文字の判読ミスといった致命的なデメリットが伴います。また、物理的な紙は紛失のリスクが常にあり、過去のデータを検索するのも一苦労です。そのため、現場で手書きを継続せざるを得ない場合でも、「最終的にはスキャンしてデジタル保存する」などのルールを設け、可能な限りアナログな作業時間を短縮する工夫が求められます。
自作タイムシートに必要な構成要素(必須項目)
タイムシートを自作する際には、必要な項目が網羅されているかを厳格にチェックしなければなりません。項目の欠落は、給与計算の不備を招くだけでなく、税務署や労働基準監督署の調査を受けた際に不備を指摘される要因となるからです。
法的、実務的な観点から必ず含めるべき構成要素は以下の通りです。
日付、曜日、および客観的な事実に基づいた始業・終業時刻
総労働時間から差し引くべき休憩時間と、その後の実働時間の算出
法定内・法定外の残業や深夜、休日の各種労働区分の明示
本人の確認と管理者の承認を示すためのワークフロー枠
これらの項目が整っていることで、初めて信頼に足るタイムシートとしての体裁が整います。
日付・曜日と始業・終業時刻
タイムシートの最上段に位置する日付と曜日は、全ての記録の起点となる基本情報です。曜日については、Excelの表示形式を利用して日付から自動で導き出されるように設定し、不整合が起きないように配慮します。
時刻の記録については、単に時間を書くのではなく、1分単位で正確に記録させるのが理想です。切捨てや切り上げ(丸め処理)を行う場合は、就業規則に則った正当な処理である必要があります。「実際の稼働状況を分単位で忠実に記録する」ことが徹底されていれば、万が一の労使トラブルが発生した際にも、企業を守る強力な証明書として機能します。
休憩時間と実働時間の自動計算
休憩時間は労働基準法で定められた権利であり、実働時間を算出する際に必ず差し引かなければならない項目です。タイムシート上では、1日の拘束時間から休憩時間をマイナスし、正味の仕事時間を自動計算する数式を組み込みます。
多くの現場では「12:00から13:00までは休憩」と固定されていますが、職種によっては不規則に休憩を取ることもあります。どのようなケースでも対応できるよう、休憩時間を自由に上書きできる入力欄を設けておくと運用の柔軟性が高まります。計算ミスを排除し、正確な実働時間を弾き出すことは、従業員のモチベーション維持と正確な人件費管理の第一歩となります。
時間外労働(残業・深夜・休日)の区分
日本の労働法制では、時間帯や曜日によって割増賃金の率が異なるため、これらを混同せずに集計する必要があります。通常の残業に加え、22時以降の深夜労働、法定休日における勤務など、それぞれを別個の列に分けて記録しなければなりません。
これらの区分を一つの合計欄にまとめてしまうと、給与計算の段階で再集計が必要になり、大きな工数ロスが発生します。自作のテンプレートでは、数式を用いて「8時間を超えたら残業列へ」「22時を超えたら深夜列へ」と自動で振り分ける仕組みを構築してください。複雑な賃金計算を簡略化させる仕組みをあらかじめ作り込んでおくことが、給理担当者の精神的な負担を減らす大きな鍵となります。
承認印・確認欄(ワークフロー)
タイムシートは記入して終わりではなく、第三者による確認を経て初めてその正当性が担保されます。したがって、シートの末尾には必ず「記入者本人のサイン」と「所属長の承認」を記録するエリアを設けてください。
デジタル運用であれば、印鑑の代わりにプルダウンメニューで「承認済み」を選択させたり、確定ボタンを設けたりする方法が考えられます。この承認プロセスがあることで、虚偽の記載を防ぎ、責任の所在を明確にすることができます。「誰がいつ確認したのか」というプロセスを可視化することは、社内統制(コンプライアンス)を維持する上で極めて重要な意味を持ちます。
Excelタイムシート自作に役立つ関数テクニック
Excelでタイムシートを自作する際、関数を使いこなすことで入力作業のほとんどを自動化できます。複雑に見える計算も、基本となる数式を一度組み込んでしまえば、あとは日付や時刻を入れるだけで全ての集計が完了するようになります。
効率的なタイムシート作成に役立つ関数テクニックは以下の3点です。
24時間を超える計算を正しく表示させるための書式設定
条件に応じて数値を出し分けるIF関数による自動振り分け
入力ミスを物理的に防ぐためのドロップダウンリストの設定
これらの手法をテンプレートに取り入れるだけで、管理の精度は格段に向上し、誰でも使いこなせる便利なツールへと進化します。
時間の合計(SUM)と表示形式([h]:mm)
Excelで時間を足し算する際、多くの人が直面するのが「合計が24時間を超えると表示がおかしくなる」という問題です。これはExcelの初期設定が24時間を1日として繰り上げるようになっているためで、単純なSUM関数だけでは正解が得られません。
この問題を解決するには、セルの書式設定にある「ユーザー定義」を利用します。書式の種類に「[h]:mm」と入力することで、24時間を超えても繰り上がらず、例えば「35:30」のように累計時間を正しく表示できます。時間の集計漏れという初歩的なミスを防ぐために、この設定はタイムシート作成において避けて通れない必須のテクニックです。
条件分岐(IF)による残業計算
残業時間を自動的に算出するためには、IF関数を用いて「条件に合致した場合のみ計算する」という指示をセルに与えます。例えば、定時が8時間の場合、「実働時間が8時間を超えていれば、その差分を表示し、そうでなければ0を表示する」という数式を作成します。
具体的には「=IF(実働セル>8/24, 実働セル-8/24, 0)」のような構造になります(※Excelでは1時間を1/24として扱います)。これを応用すれば、遅刻や早退の有無、深夜時間帯の切り出しなども全て全自動で判定可能です。手作業による判断を数式に置き換えることで、人間特有の見落としや計算ミスをシステム的に封じ込めることができます。
入力規則(プルダウン)による標準化
工数管理を目的としたタイムシートで最も困るのは、人によって業務名の書き方がバラバラになってしまうことです。例えば「会議」「打合せ」「ミーティング」といった表記が混在すると、後で集計する際にキーワード検索が機能せず、正確な分析ができません。
これを防ぐためには、Excelの「データの入力規則」機能を使い、あらかじめ決めた項目リストから選ばせる方式を採用します。セルを選択した際にプルダウンメニューが出るようにすれば、入力の手間も省け、表記の揺れも完全に解消されます。「データの品質を入り口で守る」という発想を持つことで、月末の集計作業が驚くほどスムーズになり、分析データの信頼性も高まります。
Excelタイムシート運用の限界とリスク
無料のExcelテンプレートは初期コストを抑えるには最適ですが、組織の規模が大きくなるにつれて必ず限界が訪れます。従業員数が増えたり、働き方が多様化したりすると、Excel特有の脆弱性が顕在化し、管理上の大きな足かせとなってしまうのです。
Excel管理を続けることで直面する主なリスクは以下の通りです。
ファイルの配布、回収、集計にかかる人的コストの増大
頻繁な法改正への追従が困難になることによるコンプライアンス違反
データの改ざんが容易であることによる記録の客観性の喪失
これらの兆候が見られ始めたら、ツールそのものの見直しを検討すべきタイミングと言えるでしょう。
集計工数とヒューマンエラー
Excel運用で最も過酷なのは、締め日直後に発生する経理担当者の集計作業です。一人ひとりが作成したファイルを開き、数式が壊れていないかを確認し、値を集計用ファイルへ転記する作業には、膨大な時間が費やされます。
「ファイルを上書き保存してしまった」「誰かが勝手に行を挿入して計算式を壊した」といったトラブルへの対応は、生産的な仕事とは言えません。人数が増えるほどこの負担は雪だるま式に膨らみ、転記ミスの発生確率も高まってしまいます。「人の手による統合」という工程が介在する以上、ミスをゼロにすることは不可能であり、それが経営判断を狂わせるリスクを孕んでいることを自覚しなければなりません。
法改正への対応コスト(2024年問題等)
近年の労働法制は、残業時間の上限規制や有給休暇の管理義務化など、非常に速いスピードで変化しています。Excelのテンプレートでこれらの変更に完全対応し続けるには、労働法とExcel関数の両方に精通した専門的なスキルが求められます。
例えば、特定の業種における時間外労働の制限(いわゆる2024年問題)など、複雑な計算ロジックをテンプレートに反映し損ねると、気づかないうちに法を犯している危険性があります。古いフォーマットを使い続けることは、企業にとって大きな訴訟リスクを背負うことと同義です。「常に最新の法令を遵守した状態を保つ」ことをExcelで実現しようとするのは、保守コストの観点から見て非常に非効率な選択となる場合が多いのです。
不正打刻と客観性の欠如
Excelの最大の問題点とも言えるのが、入力内容を誰でも、いつでも、何度でも自由に書き換えられてしまう点です。これは、遅刻した事実を消去したり、残業時間を意図的に過少申告したりといった不正を許容する温床となります。
近年の労働監督署の調査では、単なる自己申告型のExcelシートは「客観的な記録」として認められないケースが増えています。PCのログオン・ログオフ履歴や入退室記録との不整合を指摘された際、修正履歴が残らないExcelでは反論の余地がありません。記録の信頼性を疑われることは、企業の社会的信用を損なうことに繋がるため、透明性の高い管理手法への移行が強く推奨されます。
タイムシートアプリ・勤怠管理システムの導入
Excel運用の限界を感じ始めた企業にとって、次なるステップはクラウド型の勤怠管理システムやアプリの導入です。月額数百円程度の投資で、これまで手作業で行っていた打刻、集計、法対応の全てをシステムが肩代わりしてくれます。
システム導入によって得られる具体的なメリットを整理しました。
打刻と同時にリアルタイムで集計が完了するスピード感
法改正に合わせてベンダーが自動で機能をアップデートしてくれる安心感
GPSや他ツールとの連携による多様な働き方への対応力
管理業務を「作業」から「確認」へとシフトさせることで、本来集中すべきメインの業務に時間を充てることが可能になります。
クラウドシステムのメリット(自動集計・法対応)
クラウド型のシステムを導入すると、従業員がスマホやPCで打刻した瞬間に、残業代や有給残日数、社会保険の計算に必要なデータが自動で生成されます。集計ミスは物理的に発生しなくなり、経理担当者の月末の残業もほぼ解消されるでしょう。
さらに、法改正への対応についても、システム提供元が自動で計算ロジックを更新してくれるため、ユーザー側で特別な作業を行う必要はありません。新しい規制が施行されるたびに頭を悩ませていた管理職にとって、これほど心強いことはありません。「法令遵守をシステムにアウトソーシングできる」という点こそが、多忙な中小企業やスタートアップにとって最大の恩恵となります。
GPS打刻やチャットツール連携
現代の多様な働き方において、タイムシートの入力方法は柔軟であるべきです。最新のアプリでは、スマホのGPS機能を利用して「どこで打刻したか」をセットで記録できるため、直行直帰の多い営業職や建設現場の管理も容易になります。
また、SlackやMicrosoft Teamsといったチャットツールと連携させ、普段の会話の流れで「出勤」「退勤」と入力するだけでタイムシートに反映される仕組みも普及しています。わざわざ専用の管理画面を開く必要がないため、従業員の心理的なハードルが下がり、打刻漏れが激減します。「日常生活に打刻を溶け込ませる」ことで正確なデータを収集できるのは、アプリならではの大きなアドバンテージです。
プロジェクト工数管理ツールとの連携
単なる勤怠管理だけでなく、プロジェクトごとの工数管理を強化したい場合は、専門の工数管理ツールとの連携が効果的です。カレンダー上の予定をドラッグ&ドロップするだけでタイムシートが完成するような、高度な操作性を備えたツールも増えています。
これにより、勤怠用の「出退勤時間」と、工数用の「タスクごとの時間」を二重で入力する手間がなくなります。一つの操作で給与計算データと原価計算データが同時に作られるため、管理の整合性は完璧になります。「全ての時間データを一つのハブに集約させる」という構成を構築することで、経営層はどのプロジェクトが健全かを即座に判断できるようになり、迅速な意思決定を支援します。
おすすめのタイムシート管理ツール・アプリ
いざシステムを導入しようとしても、市場には数多くのサービスが存在し、どれを選ぶべきか迷うことも多いでしょう。選定の基準は、自社の組織規模、予算、そして「工数管理をどこまで詳細に行いたいか」という目的の明確化にあります。
Excelからの乗り換え先として特におすすめのツールを3つ紹介します。それぞれの特徴を比較し、自社の課題を最も解決できるものを見極めてください。
ハーモス勤怠(旧:IEYASU)
ハーモス勤怠は、少人数であれば初期費用・月額費用ともに無料で利用できるという、非常に導入障壁の低いクラウド勤怠管理システムです。Excelでの運用に慣れたユーザーでも直感的に使えるUI(ユーザーインターフェース)が特徴で、乗り換え後の混乱を最小限に抑えられます。
無料プランであっても、基本的な打刻機能や日報機能、さらには残業集計やCSV出力といった実務に必要な機能が十分に備わっています。まずはお金をかけずにデジタル化を試してみたいという企業にとって、これ以上の選択肢はありません。「シンプルかつ必要十分な機能」が凝縮されているため、初めてシステムを導入する際のファーストステップとして最も人気のあるサービスです。
freee人事労務 / freee工数管理
クラウド会計ソフトとして有名なfreeeが提供するこれらのサービスは、バックオフィス業務の徹底的な自動化を目指す組織に適しています。タイムシートに入力された勤務データがそのまま給与計算と連動するため、確定ボタンを押すだけで給与明細の発行までが完結します。
また、freee工数管理と組み合わせることで、プロジェクトごとの人件費配賦も自動で行われ、会計データに即座に反映されます。財務状況と現場の稼働状況をリアルタイムで紐づけたい経営者にとっては、非常に強力な武器となるでしょう。「点在する業務を線で繋ぐ」ような統合体験は、事務作業の時間を限りなくゼロに近づけたい企業に最適なソリューションです。
TimeCrowd(タイムクラウド)
TimeCrowdは、一般的な勤怠管理システムとは一線を画し、より詳細な「時間の使い方」の可視化に特化したツールです。ブラウザやアプリ上のスタートボタンを押すだけで計測が始まり、今どのタスクに時間を費やしているかをリアルタイムで計測します。
事後報告のタイムシートではどうしても「記憶」に頼るため精度が落ちますが、TimeCrowdはリアルタイム計測なのでデータの正確性が極めて高いのが特徴です。誰が何をやっているかがチーム全員に共有されるため、リモートワーク下での「見えない不安」も解消されます。「1分1秒の時間の価値を最大化したい」という生産性重視のチームにおいて、これほど適したツールは他にありません。
まとめ
タイムシートは、適切な労務管理とプロジェクト運営の基盤を支える重要な役割を担っています。ExcelやGoogleスプレッドシートを活用したテンプレート運用は、コストを抑えながら迅速に導入できる有効な手段です。しかし、組織の成長や法改正への対応を考慮すると、いずれは限界が訪れます。
大切なのは、自社の目的が「正確な給与計算」なのか、それとも「詳細な工数分析」なのかを明確にすることです。初期段階では本記事で紹介した関数テクニックを駆使して自作シートの精度を高め、運用の負担が増大したタイミングでクラウドシステムへの移行を検討しましょう。最適な管理方法を選択することで、ムダな事務作業を削減し、より付加価値の高い業務へ注力できる環境が整います。
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