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物流インフラとは?直面する5つの課題や取り組み、今後の展望を解説
物流インフラとは何か、その意味と重要性を2024年問題や人手不足といった課題とあわせて解説。倉庫、輸送網、ITシステムなどの基礎知識から、自動化、DX、モーダルシフトといった最新の取り組み、そして自動運転やフィジカルインターネットなど今後の展望まで網羅します。
目次
私たちの手元に届くあらゆる商品は、必ずどこかで作られ、運ばれてきたものです。この「運ぶ」という行為、すなわち物流を支えているのが、道路や港湾、倉庫、そして情報システムといった「物流インフラ」です。
しかし今、この物流インフラは、かつてない危機に直面しています。「荷物が届かなくなるかもしれない」「配送料が高騰する」といったニュースを耳にすることも増えたのではないでしょうか。
2024年問題をはじめとする人手不足や、EC市場の拡大による荷量の急増など、物流を取り巻く環境は激変しており、その基盤であるインフラの再構築が急務となっています。
この記事では、私たちの生活と経済を支える物流インフラの基本的な意味から、直面している深刻な課題、そして最新のテクノロジーを活用した解決策や未来の展望まで、網羅的に、そして分かりやすく解説していきます。
物流インフラとは何か?
物流インフラとは、物流、すなわちモノの流れを機能させるために不可欠な、社会的な基盤(インフラストラクチャー)の総称です。
私たちの身体に例えるなら、物流は経済活動における「血液(モノ)」を全身に運ぶための仕組みであり、物流インフラはその血液をスムーズに流すための「血管」や「心臓」に相当する、極めて重要な役割を担っています。この基盤が機能不全に陥れば、経済活動は停滞し、私たちの日常生活も維持できなくなってしまいます。
その構成要素は多岐にわたり、倉庫や港湾といった目に見える「物理的な施設」だけでなく、道路や鉄道網といった「輸送経路」、さらにはモノの動きを管理する「情報システム(ITインフラ)」や、物流を円滑に行うための「法制度」まで、物流プロセス全体を支えるあらゆる要素が含まれます。
1. ハード(物理)インフラ
物流インフラの中で最もイメージしやすいのが、モノを「保管」し、物理的に「移動」させるための、目に見える物理的な施設や設備です。これらは物流の骨格を形成します。
物流拠点(施設)
・物流センター:商品の入出荷、保管、仕分け、流通加工などを行う総合的な拠点。
・倉庫:主に物品を保管するための施設。
・配送センター:特定の地域への配送を受け持つ拠点。
・トラックターミナル:長距離輸送と地域内配送の積み替えを行う拠点。
輸送網(経路)
・道路:トラック輸送の要となる高速道路や一般道、橋梁、トンネルなど。
・鉄道:大量の貨物を定時で運ぶための線路や貨物駅。
・港湾(港):海外との貿易の玄関口となる埠頭やコンテナターミナル。
・空港:緊急性の高い貨物などを運ぶ航空輸送の拠点。
輸送機器(手段)
・トラック、鉄道車両、船舶、航空機といった輸送手段そのもの。
・倉庫内で荷物を運ぶフォークリフトや、荷物を載せるパレット、コンテナなどのマテハン機器(マテリアルハンドリング機器)もここに含まれます。
2. ソフト(情報)インフラ
現代の物流において、ハードインフラと同じくらい、あるいはそれ以上に重要性を増しているのが、モノの動きを「管理」し「最適化」するための、目に見えない情報システムや仕組み、すなわちソフトインフラです。
管理システム
・WMS(倉庫管理システム):倉庫内の在庫状況や入出荷作業を管理するシステム。
・TMS(配送管理システム):トラックの配車計画や配送ルート、運行状況を管理するシステム。
・受発注システム(EOS/EDI):企業間での注文データのやり取りを電子化するシステム。
情報ネットワーク
・これらのシステムを繋ぐインターネット回線や、企業間専用のネットワーク(VAN:付加価値通信網)。
・トラックや荷物の位置を特定するためのGPS(全地球測位システム)などの通信インフラ。
情報インフラが整備されることで、モノが「今どこにあるか」「いつ届くか」を正確に把握し、無駄のない効率的な物流が可能になります。
3. 制度的インフラ
物理的な施設やシステムだけでなく、物流を円滑かつ安全に行うためのルールや基準も、広義のインフラに含まれます。
・関連法規:貨物自動車運送事業法などの物流事業を規制・保護する法律や、道路交通法、労働基準法など。
・通関制度:国際物流における輸出入の手続きや関税に関するルール。
・標準化・規格:荷物を載せるパレットのサイズ(JIS規格など)や、伝票のフォーマット、データ交換の標準規約など。これらが統一されていることで、異なる企業間でもスムーズにモノや情報をやり取りできます。
物流インフラが直面する5つの深刻な課題
現在、日本の物流インフラは、かつてないほどの危機的な状況にあります。社会からの需要が増え続ける一方で、それを支える供給能力が限界に達しつつあり、需給バランスが崩れ始めているのです。
ここでは、物流インフラが直面する5つの深刻な課題について解説します。
1. 2024年問題とドライバー不足
物流業界にとって最大の懸念材料であり、喫緊の課題となっているのが「物流の2024年問題」です。
これは、働き方改革関連法の施行により、2024年4月1日からトラックドライバーの時間外労働時間の上限が、年間960時間に規制されたことに起因します。長時間労働の是正は、ドライバーの健康を守るために必要な措置ですが、一方で、これまで長時間労働によって支えられてきた輸送能力が、物理的に減少することを意味します。
具体的には、一人のドライバーが1日に走れる距離や、運べる荷物の量が減るため、業界全体として輸送能力が大幅に不足(2024年時点で約14%、2030年には約34%不足するとも試算されています)し、「モノが運べなくなる」事態が懸念されています。
この問題の根本には、少子高齢化や過酷な労働環境による慢性的なドライバー不足があり、規制強化がその不足に拍車をかけている状況です。
2. 労働力の高齢化と人手不足
人手不足はドライバーだけに限った話ではありません。物流インフラを支えるあらゆる現場で、深刻な労働力不足が進行しています。
特に、物流センターや倉庫内で商品のピッキング(棚からの取り出し)や梱包を行う作業員、トラックへの荷積み・荷降ろしを行う作業員など、労働集約的な現場においては、既存の従業員の高齢化が進む一方で、若手人材の確保が極めて困難になっています。
重労働や、空調の効きにくい環境といったイメージもあり、新しい人材が集まりにくい構造的な課題があります。現場を支える「人」がいなければ、どんなに立派な施設があっても物流インフラは機能しません。
3. EC(ネット通販)市場の急拡大
新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経て、人々の購買行動は大きく変化し、EC(電子商取引、ネット通販)の利用が急速に拡大しました。
これにより、物流全体に占める「BtoC(企業から個人へ)」の荷物の割合が急増しました。工場や店舗へまとめて運ぶ「BtoB(企業間物流)」に比べ、個人宅への配送は、荷物が「多頻度・小口化」し、配送先が分散するため、配送効率が著しく低下します。
特に、不在による再配達の発生は、ドライバーの大きな負担となっています。この「ラストワンマイル(配送の最終区間)」における業務負担の爆発的な増大が、物流インフラを圧迫しています。
4. 物理インフラ(施設・道路)の老朽化
日本の物流インフラの多くは、高度経済成長期に集中的に整備されました。そのため、建設から数十年が経過し、道路、トンネル、橋梁、港湾設備、そして倉庫などの物理インフラが一斉に「老朽化」の時期を迎えています。
特に、中小の運送会社や倉庫事業者が保有する古い倉庫は、床の耐荷重が低かったり、天井が低かったり、柱が多くて自動化設備を導入できなかったりと、現代の物流ニーズに対応できないケースが増えています。
また、高速道路などの社会インフラの老朽化による大規模な修繕工事や通行止めは、輸送の遅延や迂回を招き、物流全体の効率を低下させる要因となります。維持・更新にかかるコストの増大も大きな課題です。
5. 環境問題への対応(脱炭素化)
気候変動対策は世界共通の課題であり、物流業界も例外ではありません。物流プロセス、特にトラックなどの輸送部門は、CO2(二酸化炭素)の排出量が大きい産業の一つです。
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、社会全体としてCO2排出量の削減が強く求められており、物流業界もEVトラック(電気自動車)やFCV(燃料電池車)の導入、あるいはトラックから鉄道・船舶へ輸送手段を切り替える「モーダルシフト」、積載率の向上による運行回数の削減といった対応を迫られています。
環境への配慮は、もはや企業の社会的責任(CSR)の範囲を超え、事業継続のための必須条件となりつつあります。
【ハード編】物流インフラの変革と進化
これらの深刻な課題に対し、物流インフラの「器」である物理的な施設(ハードウェア)の側面でも、大きな変革と進化が起きています。単なる保管場所から、高度な機能を持つ拠点へと姿を変えつつあります。
1. 従来の「倉庫」から「物流センター」へ
かつての「倉庫(Soko)」は、文字通りモノを長期間「保管」しておくための場所という意味合いが強いものでした。
しかし、現代の物流施設は、必要なモノを必要な時にすぐに出荷するための、より動的な役割を求められています。単に保管するだけでなく、値札付けや検品、セット組みといった「流通加工」、注文に応じて商品を1個単位で取り出す「ピッキング」、そして配送先ごとに仕分ける「ソーティング」といった高度な機能を備えた、「物流センター((A)LFC:Advanced Logistics Facilityなど)」へと進化しています。
物流プロセスの単なる中継点ではなく、付加価値を生み出す「戦略拠点」としての役割を担うようになっています。
2. 最新鋭の「物流パーク」の登場
こうした高機能な物流センターへの需要に応えるため、大手不動産デベロッパーなどが開発する、大規模かつ多機能な物流センターが集中した「物流パーク(物流団地)」の建設が、全国の交通の要所で相次いでいます。
これらの最新鋭の施設は、大型トラックが各階に直接乗り入れられるランプウェイを備えていたり、床の耐荷重を強化して重量物や大型の自動化設備の導入に対応していたり、天井高を高くして保管効率を高めたりと、現代の物流ニーズに最適化された設計になっています。
また、従業員のためのカフェテリアや託児所を併設するなど、人手不足対策として働きやすい環境整備にも力が入れられています。高速道路のインターチェンジ近くや港湾部に立地し、効率的な配送ネットワークのハブ(拠点)として機能しています。
3. 倉庫の自動化・省人化設備
深刻化する倉庫内の人手不足を解消するため、人手に頼っていた作業を機械に置き換える「自動化・省人化」への投資が急速に進んでいます。
ここで活躍するのが、「マテリアルハンドリング機器(マテハン機器)」と呼ばれる、モノの移動や保管、仕分けを自動化する機械設備です。
自動倉庫
コンピュータ制御されたクレーン(スタッカークレーン)が、高層の棚の間を高速で移動し、商品の入ったパレットやコンテナの「棚入れ」と「取り出し」を自動で行うシステムです。天井の高い空間を有効活用できるため保管効率が高く、入出庫のスピードと正確性も飛躍的に向上します。
ソーター(自動仕分け機)
ベルトコンベア上を流れてくる荷物のバーコードや形状を読み取り、配送先や方面ごとに自動で分岐・仕分けを行うシステムです。高速で大量の荷物を処理できるため、宅配便のターミナルや大規模なEC物流センターなどで導入されています。スライドシュー式やクロスベルト式など様々なタイプがあります。
ロボットストレージ(GTP:Goods to Person)
従来のピッキング作業は、作業員が広い倉庫内を歩き回って商品を取りに行く「人がモノを取りに行く」スタイルでした。
これに対し、ロボットストレージは、ロボット(AGV:無人搬送車やAMR:自律走行搬送ロボット)が商品の入った棚ごと持ち上げて移動し、定位置にいる作業員の元まで運んでくる「モノが人の所に来る(Goods to Person)」システムです。作業員の歩行時間をゼロにし、ピッキング効率を数倍に高めることができます。Amazonの物流拠点で採用されていることでも有名です。
【ソフト編】DXによる物流インフラの変革
ハードウェア(施設や設備)の進化以上に、現代の物流インフラの変革を強力に牽引しているのが、デジタル技術(DX)の活用による「ソフト(情報)」インフラの進化です。IoTやAIといった技術が、物流の「見える化」と「最適化」を実現しています。
1. WMS(倉庫管理システム)による倉庫内の「見える化」
WMS(Warehouse Management System)は、倉庫内のモノの「状態」と「位置」を正確にデジタル管理する情報インフラです。
「いつ、どの商品が、いくつ入荷し、倉庫のどの棚(ロケーション)に保管され、いつ出荷されたか」という情報を、バーコードやRFIDタグを活用してリアルタイムで把握します。
これにより、帳簿上の在庫と実際の在庫が合わない「在庫差異」を解消し、ピッキング作業の最短ルートを作業者に指示するなど、倉庫内作業の効率化と品質向上を実現します。人手不足の中で、経験の浅い作業者でもミスなく作業できるようにするために不可欠なシステムです。
2. TMS(配送管理システム)による輸送の「見える化」
TMS(Transport Management System)は、物流の動脈である「トラック輸送」を管理・最適化する情報インフラです。
「どのトラックに、どの荷物を、どの順番で積めば最も効率的か(積載率の向上)」、「どのルートを通れば最短時間・最少コストで配送できるか(配車計画の最適化)」、「今、トラックはどこを走っているか(動態管理)」といった情報を、計算・可視化します。
これにより、熟練の配車担当者の勘に頼っていた配車業務を自動化したり、ドライバーの待機時間を削減したりすることで、2024年問題への対策(ドライバーの負担軽減)や燃料費の削減に大きく貢献します。
3. AI(人工知能)による需要予測
物流における最大のムダである「過剰在庫(作りすぎ・仕入れすぎ)」や「欠品(機会損失)」の根本原因は、「将来どれだけ売れるか」という需要予測のズレにあります。この課題を解決するために、AIを活用した高精度な需要予測の導入が進んでいます。
過去の販売実績データだけでなく、気象予報、地域のイベント情報、カレンダー(曜日や祝日)、SNSのトレンド、競合の価格動向といった多様なビッグデータをAIが複合的に分析し、人間では不可能なレベルで「将来の需要」を予測します。この予測に基づいて生産量や仕入れ量、在庫配置を最適化することで、物流プロセス全体(サプライチェーン)のムダを削減し、効率化を図ります。
4. IoTによるリアルタイムなモノの追跡
IoT(モノのインターネット)技術を活用し、離れた場所にあるモノの状態を遠隔で把握するインフラも整備されつつあります。
トラックやコンテナ、パレット、あるいは高価な荷物そのものに、GPSセンサーや通信機能、温度センサーなどを取り付けます。これにより、単に「今どこにあるか(位置情報)」だけでなく、「適切な温度で運ばれているか(温度管理)」「衝撃が加わっていないか(品質管理)」といった状態までもリアルタイムで監視できます。
これは、医薬品や生鮮食品、精密機器といった、厳格な品質管理が求められる物流において、安全性と信頼性を担保するための重要な技術となっています。
課題解決に向けた国・業界の取り組み
物流インフラが直面する危機的状況は、もはや一企業の自助努力だけで解決できるレベルを超えています。国や業界全体が連携し、物流を持続可能なものにするための「協調」の取り組みが進められています。
1. ホワイト物流推進運動
国土交通省、経済産業省、農林水産省が主導し、上場企業や主要企業の参加を呼びかけている国民運動です。これは、物流事業者だけでなく、物流を「発注する側」である荷主企業(メーカー、卸、小売など)も協力して、トラックドライバーの労働環境改善に取り組もうというものです。
具体的には、「トラックの予約受付システムを導入して、荷待ち時間を削減する」「パレットを活用して、手積み・手降ろしの負担を減らす」「無理な配送依頼を避ける」といった自主行動宣言を行い、実行に移すことが求められています。物流を「コスト」ではなく「価値を生むパートナー」として捉え直す意識改革が進んでいます。
2. モーダルシフトの推進
トラック(自動車)による長距離輸送への過度な依存を見直し、より環境負荷が低く、一度に大量輸送が可能な「鉄道」や「船舶(内航海運)」に輸送手段を切り替える(シフトする)取り組みです。
鉄道や船舶は、トラックに比べてCO2排出量が格段に少なく、また一人の運転士や船員で大量の荷物を運べるため、労働生産性が高いという特徴があります。これは、CO2排出量削減(環境課題の解決)と、トラックドライバー不足の解消(2024年問題対策)の双方に有効な一石二鳥の対策として、国も補助金などを通じて強力に推進しています。
3. 物流の「標準化」
日本の物流業界には、企業ごとに使用するパレットのサイズや伝票のフォーマットがバラバラであるという課題があります。これが、荷物の積み替え作業(手荷役)の手間を増やし、デジタル化や企業間連携を阻害する要因となっていました。
そこで、業界全体でパレットのサイズ(「T11型」と呼ばれる1100mm×1100mmサイズなど)や、伝票、データ交換の形式などを「標準化」し、統一しようという取り組みが進められています。規格が統一されることで、パレットのまま荷物をリレー輸送したり、データをスムーズに連携したりすることが可能になり、物流システム全体の効率が底上げされます。
物流インフラの今後の展望
人手不足と需要増という構造的な課題を乗り越え、未来の物流を支えていくために、物流インフラは今後、さらなる「自動化」と「データ連携」の高度化へと進んでいきます。
1. 自動運転トラックと隊列走行
ドライバー不足に対する究極の解決策として期待されているのが、高速道路などでの「自動運転トラック」の実用化です。国と民間企業が一体となって、技術開発や法整備を進めています。
完全な無人運転の前に、まずは先頭の有人トラックの後ろを、通信で繋がった無人の(または監視員が乗った)後続トラックが自動で追従して走行する「隊列走行」の実用化が現実的なステップとして進められています。
これにより、一人のドライバーで複数台分の荷物を運ぶことが可能になり、輸送効率が飛躍的に向上します。深夜の幹線輸送などでの活用が期待されています。
2. ドローンや自動配送ロボットによる「ラストワンマイル」配送
最も人手不足が深刻な物流の最終工程(ラストワンマイル)においては、人間ではなくロボットが配送を担う未来が近づいています。
小型の「ドローン」を使って空から荷物を届けたり、歩道を走行する「自動配送ロボット」が商品を届けたりする実証実験が、過疎地や都市部の一部ですでに始まっています。法改正により公道走行が可能になるなど、環境整備も進んでいます。
これらが普及すれば、買物弱者の支援や、再配達問題の解消に大きく貢献するでしょう。
3. 物流データ連携基盤(フィジカルインターネット)
究極の物流効率化として提唱されているのが、「フィジカルインターネット」という構想です。
これは、インターネットが情報のパケット(小包)を最適なルートで世界中に届けるのと同じように、物理的なモノ(フィジカル)の物流においても、規格化された容器やパレットを使い、企業や業界の枠を超えて物流網(倉庫、トラック)をシェアリングし、最も効率的なルートで運ぼうという考え方です。
現在は企業ごとに分断されている物流インフラの情報を、社会全体で共有・連携させる「物流データ連携基盤」を構築することで、「A社の帰りの空トラックが、B社の荷物を運ぶ」「複数の企業の荷物を、共同の倉庫で保管・配送する」といったことが当たり前に行われるようになります。
これにより、積載率の向上と究極の効率化が実現される未来が描かれています。
まとめ
本記事では、物流インフラについて、その基本的な意味から、日本が直面する2024年問題や人手不足といった深刻な課題、そしてハード(施設)とソフト(DX)の両面における変革と解決策、今後の展望まで、詳しく解説しました。
物流インフラは、私たちの生活と経済活動を支える、なくてはならない土台です。その機能不全は、社会全体の停滞に直結します。
今、物流業界で起きている変化は、単なる技術導入ではありません。2024年問題や人手不足といった構造的な危機を乗り越えるため、AIやロボットによる自動化・省人化を進めると同時に、国や業界全体で標準化やデータ連携を進め、企業間の壁を越えて社会全体で物流インフラを最適化しようとする、大きな挑戦です。この変革の先に、持続可能で豊かな未来の物流が待っています。
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