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建設DXとは?現状や将来、課題解決の事例から導入ステップまでを紹介

建設DXとは何か、その意味と必要性を徹底解説。人手不足や生産性の低さといった業界課題に対してBIM/CIMやICT施工などの技術がどう貢献するのか、企業の成功事例、導入ステップ、課題まで紹介します。

目次

  1. 建設DXとは?
  2. なぜ今、建設業界でDXが急務なのか?
  3. 建設DXを支える5つの中核技術
  4. 政府が推進する「i-Construction(アイ・コンストラクション)」
  5. 建設DXがもたらす変革とメリット
  6. 建設DX導入・推進のステップ
  7. 建設DX推進における課題と障壁
  8. 建設DXの先進的な企業事例
  9. まとめ

日本の社会インフラを支える重要な産業である建設業界。しかしその裏側では、深刻な人手不足や低い労働生産性、労働災害といった多くの構造的な課題に長年直面してきました。これらの課題を解決し、業界全体の持続可能性を高めるための切り札として、建設DXへの期待が急速に高まっています。

「建設DXって、具体的に何をするのだろうか」「従来のIT化とはどう違うのか」「自社でも導入できるのだろうか」。多くの建設業関係者が、このような関心や疑問を抱いているのではないでしょうか。

この記事では、建設DXの基本的な意味からなぜ今それが急務とされているのか、それを支える主要な技術、導入によって得られる具体的なメリットまで分かりやすく解説していきます。

建設DXとは?

建設DXとは、IoTやAI、BIM/CIM(ビム/シム)といったデジタル技術を全面的に活用して、建設現場における生産プロセスから企業の組織体制、さらにはビジネスモデルまでを根本から変革することを指します。

単に個別の作業にITツールを導入して効率化を図るレベルに留まらず、計画・調査・設計から、施工、検査、そして完成後の維持管理に至るまでの建設ライフサイクル全体のデータを連携・活用することで、建設業界全体の生産性や安全性を飛躍的に向上させ、新たな価値を創造することを目的としています。

基本的な定義と目的

建設DXの具体的な目的は、データとデジタル技術を最大限に駆使することで、以下のような価値を実現することにあります。

・生産性の向上:建設プロセス全体の無駄を徹底的に排除し、工期の短縮とコスト削減を実現する。

・安全性の向上:危険な作業を自動化・遠隔化し、現場の事故リスクを低減する。

品質の確保と向上:データに基づいた精密な施工管理を行い、構造物の品質を高める。

・働き方改革の推進:長時間労働を是正し、建設現場をより魅力的で働きがいのある場所にする。

・技術継承の促進:熟練技能者の持つ暗黙知をデジタルデータとして形式知化し、若手への円滑な継承を支援する。

・新たなビジネスモデルの創出:収集したデータを活用し、維持管理サービスなど新たな収益源を生み出す。

これらの目的達成を通じて建設業界が抱える構造的な課題を解決し、社会全体の持続可能性に貢献することが、建設DXの大きな目標です。

従来の「IT化(情報化施工)」との違い

建設業界においても、以前からGPSを活用した測量や建設機械のガイダンスシステムなど、情報化施工と呼ばれるIT技術の活用は進められてきました。しかし、従来のIT化と建設DXの間には、その目指す範囲と深さにおいて根本的な違いがあります。

従来のIT化(情報化施工)は、主に測量、設計、施工といった個別の工程において、特定の作業をデジタル機器やソフトウェアで効率化・高精度化することに主眼が置かれていました。例えば、トータルステーションを用いた測量データのデジタル化や3D-CADによる設計図の作成、マシンガイダンスによる建機の操作支援などがこれにあたります。これらは、それぞれの工程内での生産性を高める部分最適のアプローチと言えます。

一方建設DXは、これらの個別工程のデジタル化をさらに進め、BIM/CIMなどを活用して、計画から設計、施工、維持管理に至るまでの全ての工程で生成されるデータを相互に連携させ、サプライチェーン全体で活用することを目指します。例えば、設計段階で作成した3Dモデルデータがそのまま施工段階での建機の自動制御に利用されたり、竣工後の維持管理情報として活用されたりするといった具合です。このように、プロセス全体を俯瞰してデータの流れを最適化することで建設ライフサイクル全体の生産性や価値を最大化する全体最適を目指す点が、従来のIT化との決定的な違いです。

なぜ今、建設業界でDXが急務なのか?

建設業界は日本の経済や社会基盤を支える上で極めて重要な役割を担っていますが、他の産業と比較しても特に深刻な構造的課題に長年直面してきました。これらの課題は年々深刻さを増しており、その解決策としてDXへの期待が急速に高まっています。

深刻化する労働力不足と技能者の高齢化

建設業界における最も深刻な課題の一つが、慢性的な労働力不足とそれを支える技能者の高齢化です。若者の入職者数が長期的に減少し続ける一方で、団塊の世代をはじめとする熟練技能者が今後大量に離職していくことが見込まれています。

このままでは将来的に社会インフラの維持・更新や、災害からの復旧に必要な建設労働力を確保できなくなるという危機感が業界全体で共有されています。少ない人数でも高い生産性を維持し、若者にとっても魅力的な産業へと変革していくために、デジタル技術を活用した省人化・効率化は待ったなしの状況です。

依然として低い労働生産性

建設業の労働生産性は、製造業など他の主要産業と比較して、依然として低い水準に留まっています。その主な要因として、多くの作業が現場での手作業に依存していること、天候によって作業が左右されやすいこと、そしてプロジェクトごとに仕様や条件が異なる一点生産が多いことなどが挙げられます。

また、設計、施工、維持管理といった各プロセス間での情報連携が不十分であるために、手戻りや非効率な作業が発生しやすいという構造的な問題も抱えています。DXによってこれらの課題を克服し、生産性を抜本的に向上させることが、業界全体の持続可能性にとって不可欠となっています。

働き方改革と安全性の向上への要請

建設業界は、長時間労働が常態化しやすい、いわゆる「3K(きつい、汚い、危険)」のイメージが根強く、働き方改革が他の産業に比べて遅れていると指摘されてきました。週休2日制の確保や、時間外労働の上限規制への対応は喫緊の課題です。

また、高所作業や重機作業など、依然として労働災害のリスクが高い作業も多く存在します。DXによって遠隔操作や自動化技術を活用し、危険な作業を減らしたり、作業員の健康状態をリアルタイムでモニタリングしたりすることで、現場の安全性を飛躍的に向上させることが社会的に強く求められています。

経験と勘に依存する属人化からの脱却

建設現場における施工管理や品質の判断は、長年にわたり熟練した技術者や技能者の経験や勘といった個人の暗黙知に頼る部分が多くありました。これは高い品質を支えてきた側面もありますが、一方でその技術やノウハウが若手に継承されにくいという大きな課題も生み出してきました。

DXによって熟練者の動きや判断プロセスをセンサーやAIでデータ化し、分析することで、これまで形式知化することが難しかった暗黙知を、誰もが学べる形に変換することが可能になります。これにより、若手人材の早期育成や技術レベルの底上げが期待されます。

建設DXを支える5つの中核技術

建設DXは、単一の画期的な技術によって実現されるものではありません。以下に示すような複数のデジタル技術がそれぞれの役割を果たしながら有機的に連携することで、その全体像が形作られます。

1. BIM/CIM(ビム/シム)

BIM(Building Information Modeling)およびCIM(Construction Information Modeling/Management)は、建設DXの基盤となる最も重要な技術と言えます。これは、建物の形状を3次元モデルで表現するだけでなく、そこに部材の種類やコスト、仕上げ材、管理情報といった様々な属性情報を付加したデータベースを調査・設計段階から作成し、それを施工、さらには竣工後の維持管理に至るまでの全プロセスで一貫して活用していく考え方およびそのための仕組みです。

BIM/CIMを活用することで、設計段階での関係者間の合意形成が容易になったり、図面間の不整合を事前に発見したり、正確な数量算出によるコスト管理の精度向上が可能になります。さらに、この3次元モデルデータは、後述するICT施工やデジタルツインといった他の技術と連携するための中心的な役割を果たします。

2. ICT施工(情報化施工)

ICT施工(情報化施工)とは、情報通信技術を活用して、建設工事を高精度かつ効率的に行うための一連の技術の総称です。建設DXにおける実行の部分を担う重要な技術群です。

具体的には、

・ドローン(UAV)を用いた3次元測量:短時間で広範囲の地形データを高精度に取得します。

・3次元設計データの作成:測量データやBIM/CIMモデルに基づき、施工用の詳細な3次元設計データを作成します。

・ICT建設機械による施工:3次元設計データを搭載したブルドーザーや油圧ショベルなどが、GPSなどの位置情報に基づいて半自動または自動で施工を行います。

・3次元出来形管理:施工後の地形や構造物を再度3次元測量し、設計データとの差分を比較することで、施工精度を効率的に確認します。

これらの技術により、従来は熟練オペレーターの技量に頼っていた作業を、経験の浅いオペレーターでも高精度に行えるようになり、大幅な省人化と工期短縮を実現します。

3. IoT(モノのインターネット)

IoTは、建設現場にある様々な「モノ」にセンサーを取り付け、それらの状態や動きに関するデータを収集し、インターネット経由で共有・活用する技術です。現場の状況をリアルタイムで見える化するための重要な技術です。

具体的には、以下のような活用例があります。

・建設機械の稼働状況や位置情報の把握:効率的な配車計画や、盗難防止に繋がります。

・資材(コンクリートなど)の品質管理:温度センサーなどで、輸送中や打設後の品質状態を遠隔監視します。

・作業員のバイタルデータ(心拍数、体温など)の把握:ウェアラブルデバイスを活用し、熱中症などの健康リスクを早期に検知します。

・現場環境のモニタリング:騒音、振動、粉塵などのデータを収集し、周辺環境への影響を管理します。

これらのデータを収集・分析することで、現場の安全性向上や生産性改善に繋がる新たな知見を得ることができます。

4. AI(人工知能)

AIは、IoTなどで収集された膨大なデータを分析し、人間だけでは発見できないパターンや相関関係を見つけ出し、予測や判断を行うことで、建設DXをさらに高度化させる技術です。

具体的には、以下のように活用されます。

・需要予測・工程計画の最適化:過去の工事データや気象情報などを学習し、将来の工事需要を予測したり、最も効率的な工程計画を自動で立案したりします。

・安全監視:現場に設置したカメラ映像をAIがリアルタイムで解析し、危険な行動(ヘルメット未着用など)や、重機と作業員の接近などを検知してアラートを発します。

・品質検査の自動化:コンクリートのひび割れや、鉄筋の配置などを、AIが画像認識技術で自動的に検査します。

・設計の最適化:過去の設計データや構造計算の結果などを学習し、より効率的でコストパフォーマンスの高い設計案をAIが提案します。

5. 遠隔臨場・リモート管理

遠隔臨場とは、ウェアラブルカメラやスマートフォンなどを活用し、現場に行かなくても事務所などの遠隔地から、複数の建設現場の状況をリアルタイムに確認したり、指示を出したりする技術です。

これにより、現場監督は移動時間を大幅に削減でき、より多くの現場を効率的に管理することが可能になります。また、発注者による段階確認や専門家による技術指導なども遠隔で行えるようになり、関係者の移動負担の軽減や迅速な意思決定に繋がります。特に、人手不足が深刻な地方の現場や、へき地での工事において有効な技術です。

政府が推進する「i-Construction(アイ・コンストラクション)」

建設業界のDXを語る上で欠かせないのが、国土交通省が2016年度から主導している「i-Construction(アイ・コンストラクション)」という取り組みです。これは、建設現場における全てのプロセスにICT技術を全面的に導入・活用することで、建設現場の生産性を飛躍的に向上させることを目指す総合的な施策です。

i-Constructionでは、前述したICT施工の導入を推進するとともに、その基盤となるBIM/CIMの活用を強く推奨しています。具体的には、公共工事において調査・測量から設計、施工、検査、維持管理に至る各段階で、3次元データの活用を原則化する方針が打ち出されています。

この政府主導の取り組みは、新しい技術の導入に慎重な傾向があった建設業界全体のDXを、強力に後押しする大きな原動力となっています。

建設DXがもたらす変革とメリット

建設DXを計画的に推進することで、企業は単に個別の課題を解決するだけでなく、生産性や安全性、品質、そして働き方そのものに至るまで、事業活動全体に大きな変革とメリットをもたらすことができます。

生産性の飛躍的な向上

建設DXによる最大のメリットの一つが、生産性の向上です。BIM/CIMを活用することで、設計段階でのシミュレーションが可能になり、施工段階での手戻りや不整合を未然に防ぐことができます。

また、ICT建機による施工の自動化・高速化は、従来の手法に比べて大幅な工期短縮とコスト削減を実現します。さらに、IoTによる現場状況のリアルタイムな可視化はボトルネックの早期発見と改善を促し、プロセス全体の効率を高めます。

安全性の確保と労働環境の改善

建設現場における労働災害のリスク低減も、建設DXがもたらす重要な価値です。危険な場所での測量や点検作業をドローンで代替したり、重機の操作を遠隔で行ったりすることで、作業員が危険な区域に立ち入る必要性を減らすことができます。

また、ウェアラブルデバイスで作業員のバイタルデータを常時モニタリングし、熱中症などの健康リスクを早期に検知してアラートを発することも可能です。これらの技術は、現場の安全性を高めると同時に、過酷な労働環境の改善にも繋がります。

品質の向上とトレーサビリティの確保

建設DXは構造物の品質向上にも貢献します。BIM/CIMの3次元モデルと実際の施工結果を比較することで、ミリ単位での高精度な施工管理が可能になります。また、AIを活用した画像認識によるひび割れ検査など、検査工程の自動化と客観性の向上も期待されます。

さらに、計画から設計、使用した資材、施工記録、検査結果といった全ての作業履歴がデジタルデータとして記録・管理されるため、完全なトレーサビリティが確保されます。これにより、将来的な維持管理や万が一問題が発生した場合の原因究明が容易になります。

技術継承と人材育成の促進

熟練技能者の高齢化と後継者不足は、建設業界全体の大きな課題です。建設DXは、この技術継承の問題に対する有効な解決策を提供します。熟練技能者の動きや判断プロセスをセンサーやAIでデータ化・分析し、それを分かりやすいマニュアルやトレーニング教材として活用することができます。

また、VR技術を用いて、若手作業員が安全な環境でリアルな現場作業を模擬体験できるトレーニングなども可能になります。これにより、従来のOJTだけでは時間がかかっていた技術習得をより効率的かつ安全に進めることができ、人材育成を促進します。

建設DX導入・推進のステップ

建設DXの導入は一気に全てを変えようとするのではなく、長期的な視点を持ち、現場の状況を考慮しながら段階的に進めることが成功の鍵となります。

目的とスコープの明確化

まず、「生産性を向上させたい」「安全性を高めたい」「技術継承を進めたい」など、「何のためにDXを導入するのか」という目的を具体的に定義します。そして、最初から全社的な変革を目指すのではなく、まずは特定の業務プロセス(例:測量工程)や、特定のプロジェクトタイプ(例:中規模の土木工事)にスコープを絞って取り組みを開始することが現実的です。

小規模な実証(PoC)からの開始

目的とスコープが定まったら、いきなり大規模なシステム投資を行うのではなく、特定の現場を選定して新しいツールや手法を比較的小規模な範囲で試行する、いわゆるPoCから始めるのが有効です。

このPoCを通じて、導入しようとしている技術が実際に現場で使えるのか、期待した効果(例:作業時間の短縮)が得られるのか、そしてどのような課題があるのかを具体的に検証します。この検証結果に基づいて計画を修正し、成功の確率を高めてから次のステップに進むことが、無駄な投資を避ける上で重要です。

データ連携基盤の整備

建設DXの効果を最大限に引き出すためには、各工程で導入したツールやシステムが生成するデータを部門や工程を越えて連携させ、一元的に管理・活用できる社内基盤を整備することが不可欠です。

特に、BIM/CIMデータをその中心に据え、測量データや施工データ、検査データ、維持管理データなどを紐付けられるようなデータプラットフォームを構築することが理想的です。これにより、単なる個別工程の効率化に留まらず、建設ライフサイクル全体を通じたデータ活用が可能になります。

人材育成と組織文化の醸成

どんなに優れたデジタルツールを導入しても、それを現場の従業員が使いこなせなければ意味がありません。導入するツールに関する操作研修はもちろんのこと、データを見て課題を発見し改善に繋げるためのデータリテラシー教育など、計画的な人材育成が不可欠です。

同時に、経営層から現場の作業員まで、組織全体として新しい技術の導入や変化を前向きに捉えて挑戦を推奨する組織文化を醸成していくことも、DXを成功させる上で極めて重要です。トップダウンの指示だけでなく、現場からのボトムアップの改善提案を奨励するような風土作りが求められます。

建設DX推進における課題と障壁

建設DXは大きな変革をもたらす可能性を秘めていますが、その導入と普及には、建設業界特有の構造的な課題や乗り越えるべきハードルも存在します。

高額な初期投資と費用対効果

BIM/CIMに対応した高機能なソフトウェアやドローン、ICT建設機械といった新しい技術や設備の導入には、多くの場合高額な初期投資が必要となります。特に資金力に限りがある中小規模の建設会社にとっては、この投資負担がDX導入の大きなハードルとなる場合があります。

また、これらの投資が具体的にどの程度の期間で、どれくらいの費用対効果を生み出すのかを事前に正確に見積もることが難しいという課題もあります。

協力会社を巻き込んだサプライチェーン全体の変革

建設プロジェクトは、元請けとなるゼネコンだけでなく、基礎工事や鉄骨工事、内装工事といった様々な工程を担う多数の専門工事業者との緊密な連携によって成り立っています。

そのため、元請け企業だけがBIM/CIMなどの新しい技術を導入しても、協力会社がそれに対応できなければ、サプライチェーン全体としての効果は限定的になってしまいます。規模やITリテラシーが異なる多くの協力会社を巻き込み、サプライチェーン全体で足並みを揃えてDXを進めていくことの難しさが、建設業界特有の課題として存在します。

現場のITリテラシーとデジタル人材の不足

建設現場で働く作業員や管理者の年齢層は比較的高く、ITツールに対する習熟度やリテラシーには大きなばらつきがあります。新しいデジタルツールの導入に対して、使い方を覚えるのが大変だという抵抗感や、従来のやり方への固執が生まれることも少なくありません。

また、建設業務の知識と、ITやデータ分析の知識の両方を併せ持ち、建設DXを企画・主導できる専門人材が業界全体で圧倒的に不足していることも、DX推進の大きな障壁となっています。

建設DXの先進的な企業事例

課題はあるものの、国内外の多くの建設関連企業がDXを積極的に推進し、大きな成果を上げ始めています。

【ゼネコンの事例】鹿島建設株式会社

大手ゼネコンの鹿島建設は、BIMを核とした建設プロセス全体のデジタル化を強力に推進しています。設計から施工、維持管理まで一貫してBIMデータを活用する体制を構築。

さらに、ロボットによる自動施工技術やウェアラブルデバイスを活用した遠隔管理技術などを組み合わせた「鹿島スマート生産」というコンセプトを掲げ、現場の生産性と安全性の両立を目指しています。自社開発の技術も多く、業界全体のDXをリードする存在です。

【プラットフォーマーの事例】株式会社アンドパッド

株式会社アンドパッドは特定の建設会社ではなく、建設業界全体を対象とした施工管理アプリ「ANDPAD」を提供することで、業界のDXを支援するプラットフォーマーとしての地位を確立しています。

このアプリは、現場で必要な図面管理や工程表の共有、現場写真の管理、関係者間のチャットといった情報を、スマートフォンやタブレット上で一元管理できるサービスです。これにより、これまで電話やFAX、紙で行われていた非効率な情報共有をデジタル化できます。IT投資が難しかった中小規模の建設会社を含む、多くの企業の業務効率化に貢献しています。

まとめ

本記事では、建設DXについて、その基本的な意味から必要性、主要技術、導入メリット、そして推進ステップと課題までを網羅的に解説しました。

建設DXとは、デジタル技術を活用して、建設業界が抱える人手不足や生産性の低さといった構造的な課題を解決し、業界全体のあり方を変革していく取り組みです。その中核となるBIM/CIMやICT施工、IoT、AIといった技術は、生産性の向上や安全性の確保、品質の向上、そして技術継承といった多岐にわたる価値をもたらします。

導入にはコストや人材といった課題も伴いますが、政府のi-Constructionによる後押しもあり、建設DXの流れは今後ますます加速していくでしょう。スモールスタートで効果を検証しながらデータ連携基盤の整備や人材育成にも計画的に取り組み、自社の状況に合ったDXを推進していくことが、これからの建設業界で競争力を維持・向上させるための鍵となります。

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