Magazine
Quantsマガジン
ラテラルムーブメントとは?水平展開攻撃の仕組みと対策方法を解説!
ラテラルムーブメントとは、サイバー攻撃者がネットワーク内でシステム間を移動し、さらに深い権限とデータアクセスを得る方法です。このラテラルムーブメントを通じて、攻撃者は重要なリソースへと静かにアクセスし、組織のセキュリティに甚大な脅威をもたらすことがあります。
ラテラルムーブメント(水平展開攻撃)とは?
ラテラルムーブメントとは、サイバー攻撃者がネットワーク内で次々とシステムに侵入し、活動範囲を広げていく手口です。初期の侵入ポイントから得た権限や情報を足がかりに、より深部のリソースへと水平にアクセスを拡大させていきます。
この過程で、攻撃者は既存のネットワーク接続経路やアプリケーションの脆弱性、管理ツールなどを巧妙に悪用しながら、検知を免れて移動します。結果として、機密データの窃取や重要業務の妨害、ひいてはシステム全体の支配すら可能になる恐れがあります。
ラテラルムーブメントの危険性は、最初は小さな侵害から始まりながら、徐々に被害が拡大していく仕組みにあります。単発の攻撃ではなく、計画的に影響を広げる持続的な脅威なのです。
ラテラルムーブメントの流れ
このラテラルムーブメントの過程は、以下のようなステップを踏んで進行します。
- 初期の侵入ポイントの確保(弱いパスワードが設定されたサーバーの乗っ取りなど)
- 内部ネットワークへの侵入とアカウント情報の窃取
- 窃取した認証情報を使った他のシステムへの不正アクセス
- 機密データの盗難や重要システムの妨害など、最終的な目的の達成
攻撃者は一度内部に入り込むと、活動範囲をさらに拡大できます。
対策を怠れば、データ漏洩、サービス停止、重要ビジネスプロセスの妨害など、甚大な被害が生じる可能性があります。
ラテラルムーブメントの危険性
一度ネットワーク内部に侵入されると、攻撃者が組織の重要リソースにアクセスし、甚大な被害を引き起こす可能性があります。
データの窃取、サービスの停止、重要なビジネスプロセスの妨害といった深刻な事態に発展する恐れがあるのです。
攻撃者はネットワーク内を自在に移動できるようになるため、機密データの漏洩リスクは高まります。顧客情報、知的財産、企業の戦略情報などの重要データが流出すれば、プライバシー侵害、コンプライアンス違反、ブランドイメージの失墜など、組織に計り知れない損害が及ぶでしょう。
さらに、攻撃者が制御システムにアクセスできれば、製造ラインの停止や製品の不具合発生など、生産活動自体が麻痺してしまう事態も想定されます。企業の事業継続が脅かされかねず、甚大な経済的損失に見舞われる可能性があります。
加えて、攻撃者が金融システムやサプライチェーン管理システムなどを狙った場合、資金の流出や物流の麻痺などが引き起こされ、企業の重要な業務プロセスが破綻してしまうリスクがあります。このように事業の根幹を揺るがす被害につながりかねない仕組みです。
ラテラルムーブメントにより内部の様々なシステムへのアクセスが可能になれば、攻撃者の選択肢は無限に広がります。
最悪の場合、組織の存続さえ脅かされかねない深刻なダメージを被る恐れがあるのです。
ラテラルムーブメントの仕組み
ラテラルムーブメントは、既存のネットワーク接続、アプリケーションの脆弱性、システム管理ツール、さらにはファイル共有機能などを悪用して実行されます。
攻撃者はこれらのツールやプロトコルを利用して、一点から別のポイントへと静かに移動し、活動を隠蔽します。
ラテラルムーブメントの対策方法
ネットワーク内での不正な活動を防ぐためには、組織は包括的かつ重層的なセキュリティ対策を綿密に実施する必要があります。
単一の対策では不十分であり、攻撃者の手口の進化に対応できません。そのため、複数の防御手段を組み合わせ、万全の体制を整える必要があります。
アクセス権限の管理
最小権限の原則を徹底し、ユーザーに付与するアクセス権は必要最低限に抑えることが肝要です。権限を過剰に付与してしまうと、侵入者が一度不正にアクセスを得た際、容易に他のシステムへと活動範囲を拡大できてしまいます。
そうならないよう、アクセス権限の適切な管理と定期的な見直しが欠かせません。
またゼロトラストの考え方に基づき、信頼できるユーザーとそうでないユーザーを明確に区別し、前者にのみ適切な権限を付与するなど、細かな制御を行うことも有効な手段となります。
認証の強化
パスワードポリシーを強化し、規則性のある単純なパスワードの使用を制限するとともに、定期的な変更を義務付けることが重要です。
さらに進んだ手段としては、複数の認証要素を組み合わせた多要素認証の導入が有効です。
例えばパスワードに加え、バイオメトリクスや物理的なセキュリティキーなど、別の要素を組み合わせることで、侵入者によるアカウント乗っ取りを防ぐことができます。また行動認証なども有力な選択肢の一つとなり得ます。
セキュリティソフトの導入
先進のセキュリティソフトウェアを導入することは、ラテラルムーブメントの脅威から組織を守る上で極めて重要な手段となります。
特にNDR、SIEM、EDRなどのソリューションは必須です。
NDRはネットワーク内の異常な通信を常時リアルタイムに検知し、SIEMはログなどのセキュリティデータを一元管理・分析することでシステム全体の状況を把握、EDRはエンドポイントにおける脅威を監視・対応します。
これら3つのソリューションを組み合わせることで、内部からの潜在的な脅威に対する強固な多層防御ラインを構築できます。
NDR
NDR (Network Detection and Response)は、ネットワーク内の異常を即座に特定し、リアルタイムで対応するための先進的なセキュリティ技術です。ネットワークのトラフィックを連続的に監視し、未知の脅威や隠れた侵入試みを識別します。例えば、外部からの不正なアクセスや内部からのデータ漏洩行動など、通常とは異なる通信パターンを検出することが可能です。
このシステムは、異常が発見された場合には即時にアラートを発し、セキュリティチームが速やかに対応できるよう支援します。NDRは日々進化するサイバー攻撃から組織を守る上で重要な役割を果たします。
SIEM
SIEM(Security Information and Event Management)は、ネットワーク上の様々なセキュリティ関連データを一箇所に集約し、分析を行うことで全体的なセキュリティ状態を把握し、管理します。
このシステムはログデータやイベント情報を収集し、それらを常時リアルタイムに解析することで、潜在的なセキュリティ脅威を迅速に特定します。また、長期的なデータ保持と分析機能により、過去のインシデントから学ぶことも可能です。
SIEMは、規制遵守の証拠としての役割も担い、必要に応じて詳細なレポートを提供することができます。
企業が複雑なセキュリティ環境を効率的に管理するためには、SIEMの導入が非常に効果的です。
EDR
EDR(Endpoint Detection and Response)は、エンドポイントデバイスにおける脅威を特定、分析し、対応を行うセキュリティソリューションです。この技術は、ワークステーション、サーバー、モバイルデバイスなど、企業ネットワークに接続されたあらゆる端末を監視し、マルウェアの侵入、データ侵害、その他のセキュリティ違反を検出します。
EDRシステムは、脅威の兆候を、リアルタイムに監視します。
異常行動が発生した場合、自動的に警告を発します。同時に、脅威の隔離や削除など、迅速な対応措置を実行することができます。
さらに、EDRはエンドポイントの詳細な行動履歴を記録するため、事後分析と脅威の評価にも利用され、企業のセキュリティ体制の向上に寄与します。
ペネトレーションテストの実施
定期的なペネトレーションテストを実施し、システムの脆弱性を発見して、それを修正することが重要です。
ラテラルムーブメント(水平展開攻撃)の対策をしよう
セキュリティを確保するためには、ラテラルムーブメントに対する理解と適切な対策が不可欠です。上述した対策を適切に実施することで、ネットワーク内の移動を制限し、攻撃者が目的を達成するのを阻止できます。
組織全体のセキュリティを強化し、リスクを最小限に抑えるためにも、これらの戦略を継続的に評価し、改善していく必要があります。
コンサルティングのご相談ならクオンツ・コンサルティング
コンサルティングに関しては、専門性を持ったコンサルタントが、徹底して伴走支援するクオンツ・コンサルティングにご相談ください。
クオンツ・コンサルティングが選ばれる3つの理由
②独立系ファームならではのリーズナブルなサービス提供
③『事業会社』発だからできる当事者意識を土台にした、実益主義のコンサルティングサービス
クオンツ・コンサルティングは『設立から3年9ヶ月で上場を成し遂げた事業会社』発の総合コンサルティングファームです。
無料で相談可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
関連記事
サイバーセキュリティ
多層防御とは?仕組みや多重防御との違いと導入メリットを解説!
多層防御とは入口だけでなく、侵入された後の経路でも防御を施策する手法です。不正アクセスされたとしても、出口を対策することで情報漏洩のリスクが防げます。本記事では、多層防御の仕組みや具体的な対策内容を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
サイバーセキュリティ
アンチウイルスとは?被害防止の仕組み・機能や必要性と選び方を解説!
アンチウイルスとは、悪意あるプログラムから自社を守るための対策全般を指します。ウイルスに感染すると、金銭被害や情報漏洩、信用の失墜といった重大な損失を被り、企業活動ができなくなるおそれがあります。アンチウイルスは、現代において必須ともいえる対策です。
サイバーセキュリティ
ダークウェブとは?アクセスの危険性・違法性と仕組みや対策を解説!
ダークウェブは匿名性の高い特殊なインターネット空間です。言論の自由の場であると同時に、違法な活動や犯罪行為の温床としても知られています。ダークウェブへのアクセスの危険性と違法性やダークウェブの仕組みを理解し、十分な対策を行うことが重要です。
サイバーセキュリティ
エンドポイントセキュリティとは?種類ごとの特徴や対策の仕組みを解説!
エンドポイントセキュリティは、ネットワークに接続するエンドポイント(パソコン、スマートフォンなど)の保護対策です。データ漏洩やサイバー攻撃の増加に伴い、エンドポイントセキュリティの主な種類や特徴、仕組みについて詳しく解説します。
サイバーセキュリティ
ボットネットとは?仕組みや感染経路と被害にあわないための対策を解説!
本記事では、ボットネットについて解説しています。仕組みや感染経路、被害にあわないための対策を詳しく説明しています。サイバー犯罪が複雑化する現代において、企業のセキュリティ対策の参考になる内容となっていますので、ぜひ役立ててください。
サイバーセキュリティ
IPスプーフィングとは?IPアドレス偽装攻撃の仕組みや被害事例と対策を解説!
IPスプーフィングとは、本来のIPアドレスを偽造して、別のIPアドレスになりすます違法行為です。正常な送信元IPアドレスになりすますため、フィルタリングの検知を回避して攻撃します。本記事では、IPスプーフィングの仕組み、被害事例、対策について解説します。
サイバーセキュリティ
ワームとウイルスの違いとは?ワームの被害事例や対策方法も解説!
この記事では、ワームの特徴や被害、予防策について解説しています。ワームは自己複製して、操作不要で迅速に拡散するマルウェアです。本記事ではワームに対する具体的な予防対策を提案しており、これにより大規模なセキュリティリスクの防止が可能です。
サイバーセキュリティ
BlueBorne(ブルーボーン)とは?Bluetoothから乗っ取り遠隔操作する攻撃の特徴と対策を解説!
BlueBorneとは、Bluetoothに関する脆弱性を総称したものです。BlueBorneを悪用されると端末の乗っ取りや遠隔操作の被害にあう可能性があり、身近なサイバー攻撃です。本記事では、BlueBorneの特徴や被害、対策についてわかりやすく解説します。
サイバーセキュリティ
ゼロトラストとは?セキュリティの仕組みや7要素と導入メリットを解説!
この記事ではゼロトラストについて説明しています。セキュリティの仕組みや7つの要素、導入するメリットについて詳しく解説しています。企業のセキュリティ対策に役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。
サイバーセキュリティ
ドライブバイダウンロードとは?攻撃の仕組みや被害事例と対策を解説!
ドライブバイダウンロードの攻撃は、ウェブサイトの閲覧時、自動的にパソコンへマルウェアをダウンロードさせる仕組みです。この攻撃により個人情報の盗難や金銭被害などのリスクがあります。これらの手口や有効な対策について、事例を用いて解説します。