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クリプトジャッキングとは?仕組みと手口や被害事例から対策を解説!
クリプトジャッキングとは、攻撃対象のデバイスに不正にアクセスし暗号通貨の採掘を行うサイバー攻撃です。本記事ではクリプトジャッキングの手口や仕組みについて解説します。実際に起きた被害事例も紹介するので、クリプトジャッキングの対策に役立ててください。
目次
クリプトジャッキングとは
クリプトジャッキングとは、攻撃対象のデバイスを不正にジャックし、ビットコインのような暗号通貨をマイニングするサイバー攻撃です。マイニングとは、暗号通貨を手に入れる手段の一つです。
マイニングには高い計算能力を持つ専用のデバイスが必要であり、大量の電力を消費します。攻撃者は、コストをかけずマイニングで利益を得るために、攻撃対象のデバイスを不正に利用します。
バックグラウンドで、勝手にデバイスで高負荷の処理が行われるのでCPUやメモリなどのリソースが大量に消費されます。そのままの状態にしていると、デバイスの処理能力の低下、発熱による熱暴走および機能停止などが発生すると考えられます。
クリプトジャッキングの仕組み
クリプトジャッキングの仕組みを理解するには、暗号通貨やマイニングの仕組みを理解する必要があります。
ここでは、暗号通貨と暗号通貨を得る手段の一つのマイニングについて解説していきます。
暗号通貨とは
暗号通貨とは、銀行などの取引所を介せず、インターネット上で取引ができるデジタル財産です。ビットコインなどに代表される暗号通貨の取引履歴は、ブロックと呼ばれるネット上のデジタル取引台帳に全て記録されます。
ブロックは複数のブロックで構成されていき、「いつ・誰が・どれぐらいの暗号通貨を取引したか」という情報が記録されています。複数のブロックが鎖のように繋がっていく構造をブロックチェーンと呼びます。
暗号通貨の仕組みとマイニング
暗号通貨には、中央銀行などの管理機関が存在しません。従って、暗号通貨の信頼性を担保するために、取引情報を暗号通貨の取引者個々のデバイスが共同でデータの管理しています。
この暗号通貨のデータ管理のネットワークを「P2P(ピアツーピア)」と呼びます。取引情報を個々の端末(peer)同士で共有して、暗号通貨の信頼性を担保しています。
マイニングとは、まだ発行されていない暗号通貨を発行(採掘)する作業を指します。新しく発行された暗号通貨の取引履歴は随時ブロックに記録されていきます。その作業を代行する第三者のことを「マイナー」と呼び、マイナーはマイニングの代行の報酬として暗号通貨を受け取ります。
クリプトジャッキングの手口
クリプトジャッキングは、前述のような暗号通貨やマイニングの仕組みを悪用したサイバー攻撃です。
クリプトジャッキングには、どのような手口があるのでしょうか。それは主に次の二つです。
- マルウェア感染させる
- JavaScriptを埋め込む
どういうことなのか、それぞれ解説していきます。
手口1:マルウェア感染
マルウェアの感染は、クリプトジャッキングの手口の一つです。特にクリプトジャッキングで使用されるマルウェアのことを「クリプトマイナー」と呼びます。
クリプトマイナーの感染経路は、フィッシングメールであったり、不正サイトからの感染であったり、サイバー攻撃でよく見られる経路です。しかしクリプトマイナーの目的は情報の摂取ではなく、攻撃対象のデバイスのジャックです。
クリプトマイナーがデバイスに侵入すると、デバイスのCPUやメモリを占有し、バックグラウンドでマイニングを行います。クリプトマイナーが存在する限り、不正マイニング行為は継続され、長期的にサイバー攻撃を受けることになります。
手口2:JavaScript埋め込み
JavaScriptを埋め込むのも、クリプトジャッキングの手口の一つです。JavaScriptrとは、プログラミング言語の一つで、動的なWebサイトやコンテンツを作成する際に使用されます。
攻撃側は、悪意あるコードを埋め込んだWebサイトを用意します。攻撃対象が不正なサイトへ訪問すると、デバイス上でスクリプトが自動的に実行され、デバイス上ではなくブラウザに悪意あるコードが保存されます。その為、攻撃された側は悪意あるコードに気付きにくく、被害が長期化する可能性があります。
クリプトジャッキングの兆候
被害者が気付きにくいと言われるクリプトジャッキングの兆候には、どのようなものがあるのでしょうか。それは以下の通りです。
- デバイスの動作が極端に遅くなる
- CPUの稼働率が急激に高くなる
- メモリなどリソースの空き容量が不自然に減っている
- 冷却ファンが必要以上に回っている
- デバイスの電源消費が早い
- 電源が急に落ちる
普段通りにデバイスを使用しているのに、上記のような不自然な兆候が見えたら、クリプトジャッキングの可能性を考えましょう。Webブラウザを開いている場合は、閉じるとクリプトジャッキングが停止する場合もあります。
クリプトジャッキングの兆候が見られたら、PCの再起動、JavaScriptの実行を無効化するなどの対処が必要となります。
クリプトジャッキングの被害事例
ここまでクリプトジャッキングの手口や兆候について、説明しました。クリプトジャッキングの過去の被害事例にはどのようなものがあるのでしょうか。
実際に起きた被害事例を紹介します。
被害事例1:大手スマートフォンメーカー(中国)
ある中国大手スマートフォンメーカーで、クリプトジャッキングの被害報告がありました。当該メーカーの日本法人公式サイトにて、サイト訪問者に強制的にマイニングを実行するJava Scriptが埋め込まれていました。
異変に気付いた多数のサイト利用者が「マイニングスクリプトが埋め込まれている証拠」をネット上にアップする騒ぎになり、当該メーカーはサイトサーバーのデータを再アップロードし、マイニングスクリプトを除去することとなりました。
被害事例2:大手通信企業(日本)
日本でもクリプトジャッキングの被害事例があります。大手通信企業の検証サーバーにクリプトマイナーが仕込まれていました。当該企業は、マルウェア検出アラートを導入していたので、警告が発生したことにより、サーバーへの不正アクセスを発見できました。
不正アクセスにより、顧客の会社名や担当者名、連絡先などの情報が漏洩した可能性がありましたが、情報漏洩の形跡はなく、不正マイニングが目的であったと推察されました。
今回の不正アクセスの要因は、以下であるとされています。
- 不要アカウントが存在し、セキュリティ管理が不十分だった
- 外部の第三者からのアクセスができる環境だった
- 取引先リストの管理が不適切だった
自社のアカウント管理や顧客リストの管理の方法は十分に講じる必要があります。今回の不正アクセスの目的が機密情報の窃取ではありませんでしたが、もし情報が漏洩していた場合、自社と顧客に対して多大な利益損失を生んでいた可能性があります。
被害事例3:テスラ(アメリカ)
アメリカの大手自動車メーカーであるテスラ社でもクリプトジャッキングによるサイバー攻撃がありました。テスラ社が使用していた企業向けクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」に、マイニング用のマルウェアが仕込まれていました。
オープンなサーバーとして公開されていた、ある運用管理ツールを攻撃者は調査していました。そこで、パスワードが保護されていないデバイスを発見します。このデバイスを通じて「ポッド」と呼ばれるストレージを発見しました。
ストレージ内部にテスラ社のAWSのログイン情報が格納されていました。攻撃者は、こうしてプラットフォームの奥深くに「Stratum」というクリプトマイナーを仕込み、クリプトジャッキングを実行していました。
被害事例4:ファクトチェックサイトPolitifact(アメリカ)
アメリカのファクトチェックサイト「Politifact.com」でも、クリプトジャッキングの被害が発覚しています。Politifact.comは、政治にまつわる発言や声明に信憑性があるのかファクトチェック(事実検証)するWebサイトです。
Webサイトにクリプトジャッキングのコードが不正に埋め込まれていました。サイト訪問者は、気付かないまま不正コードを自身のデバイス上で実行されてしまい、CPUリソースを攻撃者へ提供させられていました。
被害事例5:Android端末(アメリカ)
アメリカのセキュリティ会社「Malwarebytes Inc.」の研究により発覚した、数十万台のAndroid端末にクリプトジャッキングが実行されていた事例もあります。
スマートフォンのようなモバイルデバイスにセキュリティ対策を行う人は多くありません。「Malwarebytes Inc.」の発表によるとブラウザからクリプトジャッキングを実行させた経緯が判明しています。
クリプトジャッキング被害への対策
クリプトジャッキングは、様々な手口で行われます。非常に気付きにくいクリプトジャッキングですが、対策はできるのでしょうか。
ここでは、クリプトジャッキング被害への対策について、解説していきます。
対策1:全てのWebサイト閉じる
クリプトジャッキングの手口の一つに、Webサイトに悪意あるコードを埋め込む手法があります。不正なWebサイトに誤ってアクセスしてしまった際に、「動作が急激に重くなった」「ファンが異常に回り出した」などの症状が現れたら、クリプトジャッキングの疑いがあります。
対策としては、現在開いているWebブラウザを閉じることです。基本的には、悪意あるコードが埋め込まれたサイトを開いていないと、クリプトジャッキングは実行されません。サイトを閉じれば、クリプトジャッキングの症状は収まる可能性が高いです。
対策2:端末の再起動
ブラウザを閉じた後に、使用中のデバイスを再起動させることも、クリプトジャッキング対策として効果的です。勝手に使われていたコンピューターリソースが一度リセットされます。
注意点は、デバイス再起動時に、ブラウザを自動で再稼働させる設定にしていないことです。デバイスを再起動してCPUなどのリソースの稼働をリセットしても、不正コードが埋め込まれたWebサイトを再び開いてしまい、クリプトジャッキングを再始動させてしまっては、意味がありません。
対策3:JavaScriptの一時的ブロック
もしブラウザを全て閉じ、コンピュターリソースの稼働を一度リセットしても、症状が改善されない場合は、JavaScriptを一時的にブロックしてください。
JavaScriptを一度ブロック(無効化)することで、メールやWebサイトからダウンロードしたマルウェアが自動で実行されるのを防げます。
クリプトジャッキングの予防策
クリプトジャッキングは、被害者にとって非常に気付きにくいサイバー攻撃です。攻撃対象デバイスへの侵入経路が複雑であったり、攻撃中であっても、バックグラウンドで稼働するので、早期対処が難しいケースが多いです。
クリプトジャッキングによる被害を受けないためには、事前の予防策が重要です。ここでは、クリプトジャッキングによるサイバー攻撃を受ける前の予防策について紹介していきます。
対策1:アンチウイルスソフトやEDRの導入
アンチウイルスソフトやEDR(Endpoint Detection and Response)を使用するデバイスに事前に導入することは、多くのクリプトマイナーに有効です。
アンチウイルスソフトはデバイスへのマルウェアの侵入を未然に防ぐ目的で使用されます。EDRはマルウェアの親友を前提に、エンドポイント(PCやスマートフォンなどのデバイス)を監視し、侵入後に迅速に対応する目的で使用されます。
アンチウイルスソフトでマルウェアの侵入を未然に防ぎ、デバイスが万が一感染してしまってもEDRで侵入後のマルウェアを早期に発見し警告を出せます。2段構えで予防することで、クリプトジャッキングの脅威から自身のデバイスを守れます。
対策2:広告表示のブロック
不要な広告表示をあらかじめブロックしておくことも、クリプトジャッキングを未然に防ぐ有効な手段です。クリプトジャッキングの手口の中にはポップアップ広告を利用したものもあります。
ポップアップ広告とは、Webサイトを閲覧中に画面上に勝手に現れる別ウィンドウの広告のことです。事前に広告表示をブロックすることで誤ってクリックしなくなるので、広告経由のクリプトジャッキングからデバイスを守れます。
対策3:不審なメールやサイトにアクセスしない
基本的な予防策ですが、不審なメールやWebサイトをクリックやアクセスしないことも、クリプトジャッキングの予防策として有効です。クリプトマイナーは不正なメールやWebサイトに仕込まれているケースも多いです。身に覚えのないメールや不審なWebサイトは、そもそも開かないようにしましょう。
クリプトジャッキングの手口の一つに、悪意あるJavaScriptをWebサイトに埋め込む方法があります。Webサイトを閲覧しただけで、不正マイニングが自動的に開始されるケースもあるので、注意しましょう。
Webサイトにアクセスする際は、SSL化(通信の暗号化)されたWebサイトのみを閲覧するよう心掛けることも大事です。SSL化されたサイトは、アドレスバーに「https」と表示されています。通信が暗号化されているから絶対に安心というわけではないですが、一つの目安にしましょう。
対策4:OSやブラウザは常に最新版にする
こちらも基本的な予防策ですが、使用しているデバイスのOSやブラウザは常に最新のバージョンにアップデートしておきましょう。古いバージョンのOSやブラウザを使用し続けていると、セキュリティ上の脆弱性を突かれ、サイバー攻撃を受ける危険性が高まります。
攻撃側は、OSやブラウザ、システムなどの脆弱性を突けるように常に研究しています。こまめにアップデートして、攻撃をさせないように準備しておきましょう。
クリプトジャッキングのまとめ
本記事では、クリプトジャッキングの仕組みや手口、攻撃を受けている際の兆候などについて解説してきました。クリプトジャッキングの目的は、重要な情報の窃取ではなく、攻撃対象のデバイスのリソースを悪用し、不正マイニングを行うことです。
被害者は、攻撃に非常に気付きにくく、長期的に被害を受けてしまう可能性があります。クリプトジャッキングの兆候は、主に使用デバイスの身に覚えのない不調です。少しでも異変を感じたら、行動に移しましょう。
紹介したクリプトジャッキングへの対策や予防策を実践して、不正マイニングによる被害を回避してくださいね。
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