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認定スクラムマスター(CSM®)とは?取得方法・費用・難易度まで徹底解説
認定スクラムマスター(CSM®)とは何か、その価値と具体的な取得方法を徹底解説。必須となる研修内容から費用、試験の難易度、資格の更新方法まで網羅し、PSM™との違いも紹介します。
目次
アジャイル開発の世界で自身の専門性を証明したいと考えたとき、多くの方が最初に検討するのが認定スクラムマスター(CSM®)ではないでしょうか。世界的に広く認知されているこの資格は、スクラムマスターとしてのキャリアを考える上で、非常に有力な選択肢の一つです。
しかし、その取得には専門的な研修への参加が必須であり、費用も決して安価ではありません。「具体的にどうやって取得するのだろうか」「費用に見合う価値はあるのだろうか」といった疑問をお持ちの方も多いはずです。
この記事では、そんな認定スクラムマスター(CSM®)について、その基本的な定義から、取得することで得られる具体的なメリット、そして研修から認定までの3つのステップまで、詳しく解説していきます。
認定スクラムマスター(CSM®)とは?
認定スクラムマスター(CSM®、Certified ScrumMaster®)とは、アジャイルの普及を推進する米国の非営利団体「Scrum Alliance®」が認定する、世界的に最も広く認知されているスクラムマスターの資格の一つです。
この資格は、スクラムのフレームワークを正しく理解し、スクラムマスターとしてチームを支援するための基本的な知識とスキルを持っていることを証明するものです。
CSM®の最大の特徴は、Scrum Alliance®から認定された認定スクラムトレーナー(CST®)による2日間の研修への参加が、認定の必須条件となっている点です。単なる知識の暗記ではなく、体験を通じてスクラムの本質を学ぶことを重視しています。
認定スクラムマスター(CSM®)を取得する3つのメリット
CSM®の取得には一定の時間と費用がかかりますが、それに見合うだけの大きなメリットが得られます。キャリア形成において、有効な自己投資となるでしょう。
1. 世界標準のスクラム知識を体系的に学べる
CSM®を取得する過程で得られる最大のメリットは、2日間の認定研修そのものです。自己流の解釈や断片的な知識ではなく、スクラムの価値基準や各イベントの目的、プラクティスについて、その道のプロフェッショナルである認定トレーナーから、体系的かつ実践的に学ぶことができます。
他の受講者との対話や演習を通じて、深いレベルでの理解を得られるでしょう。
2. 転職やキャリアアップで有利になる
CSM®は世界中で認知されている資格であるため、アジャイル開発を導入している国内外の企業への転職や、社内でのキャリアアップにおいて、自身のスキルを客観的にアピールする上で有効です。多くの企業が、アジャイル開発人材の採用基準の一つとしてCSM®を挙げています。
自身の専門性を示すことで、より責任のある役割や、魅力的なプロジェクトに参加する機会が広がるでしょう。
3. グローバルなアジャイルコミュニティに参加できる
CSM®認定者になると、Scrum Alliance®が主催する世界中のイベントやオンラインコミュニティに参加する資格が得られます。これは、世界中のアジャイル実践者と繋がり、最新の知識を得たり、自身の経験を共有したりするための貴重な機会です。
継続的な学習と、グローバルな人脈形成が可能になる点は、長期的なキャリアにおいて大きな資産となります。
認定スクラムマスター(CSM®)の取得方法【3ステップ】
CSM®の取得プロセスは非常に明確で、シンプルに「研修の受講」「試験の合格」「認定手続き」という3つのステップで構成されています。
Step 1: 認定スクラムトレーナー(CST®)による2日間の研修を受講する
まず、Scrum Alliance®に公式認定された、経験豊富な認定スクラムトレーナー(CST®)が実施する、合計14時間以上の研修に参加することが必須条件です。研修は、対面形式またはオンライン形式で開催されています。
この研修は、一方的な講義を聞くだけのものではありません。座学に加えて、グループでのディスカッションやワークショップなどを通じて、スクラムの各要素を体感的に学ぶことを重視しています。
Step 2: オンライン試験を受験し、合格する
2日間の研修を全て修了すると、Scrum Alliance®からオンライン試験への案内がメールで届きます。研修修了後、90日以内にオンラインでCSM®試験を受験し、合格する必要があります。
試験は50問の選択式問題で構成され、試験時間は60分です。合格ラインは74%以上と定められています。試験内容は研修で学んだことから出題されるため、研修内容をしっかり理解していれば、合格はそれほど難しくありません。
Step 3: ライセンス契約に同意し、認定される
オンライン試験に合格した後、Scrum Alliance®のウェブサイト上でライセンス契約に同意し、認定手続きを完了させます。この手続きを終えることで、あなたは正式に認定スクラムマスターとして認定され、公式サイトの認定者ディレクトリにあなたのプロフィールが公開されます。
CSM®の試験内容・難易度・費用
資格取得を検討する上で、試験の難易度や必要な費用は重要な判断材料です。ここでは、それぞれの実態について解説します。
試験の難易度
前述の通り、CSM®の試験問題は、基本的に2日間の研修で学んだ内容から出題されます。試験の目的は、知識をふるいにかけることではなく、研修内容の理解度を確認することにあります。そのため、研修に集中して参加し、内容をきちんと理解していれば、ほとんどの人が合格できるレベルの難易度です。
費用の相場
CSM®取得にかかる費用の大部分は、必須となる2日間の研修費用です。研修の提供事業者や開催形式によって異なりますが、日本国内での相場は、合計で20万円から30万円程度となっています。この費用には、2日間の研修費と、初回の試験受験料が含まれています。
資格の更新方法について
CSM®は一度取得したら終わりという永久資格ではなく、2年ごとの更新が必要です。これは、スクラムマスターとして継続的に学習し、知識やスキルを最新の状態に保つことを促すための仕組みです。
資格を更新するためには、Scrum Alliance®が定める学習単位である「SEU(Scrum Education Units®)」を2年間で20ポイント取得し、更新料として100米ドルを支払う必要があります。SEUは、関連書籍を読んだり、アジャイル関連のイベントに参加したり、ウェビナーを視聴したりすることで取得できます。
競合資格「PSM™」との違いは?
CSM®とよく比較されるのが、もう一つの主要なスクラムマスター資格である、Scrum.orgが認定するPSM™(プロフェッショナルスクラムマスター)です。
両者の最も大きな違いは、CSM®が認定研修への参加と、そこでの体験を重視するのに対し、PSM™は研修を任意とし、厳格な試験による知識証明を重視する点にあります。
PSM™は研修が必須ではないため、受験料のみ(約200米ドル)で取得でき、コストを大幅に抑えることが可能です。しかし、その分試験の難易度はCSM®より格段に高いと言われています。個人の目的や学習スタイルによって、最適な選択は異なるでしょう。
まとめ
本記事では、世界的に最も広く認知されているスクラムマスター資格の一つである、認定スクラムマスター(CSM®)について詳しく解説しました。
CSM®の最大の特徴は、認定トレーナーによる2日間の必須研修を通じて、スクラムを体系的かつ実践的に学べる点にあります。研修と試験を経て認定されることで、世界標準の知識を身につけていることを客観的に証明でき、キャリアの可能性を大きく広げることができます。
費用は比較的高額ですが、体験的な学習や他の受講者とのネットワーク形成に価値を感じる方にとっては、非常に有効な自己投資となるでしょう。アジャイルなキャリアを本格的に築いていきたいと考えるのであれば、CSM®の取得はそのための有用な選択肢の一つです。
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