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PMOの種類とは?組織内での3つの分類と機能別の3タイプをわかりやすく解説
PMOの主要な種類を設置範囲と機能・権限という2つの明確な軸で分類し、それぞれの役割と特徴をわかりやすく解説します。自社に最適なPMOの形を見つけるための3つのステップも紹介。
「自社にPMOを導入したいが、どのような種類のPMOがあるのだろうか」
「PMOという言葉は聞くけれど、会社によって役割が違う気がする」
このように、PMOの多様性について疑問や関心をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
実は、PMOは企業の目的や組織文化、プロジェクトの特性に応じて、様々な種類が存在します。自社に合わない種類のPMOを導入してしまうと、期待した効果が得られないばかりか、現場の混乱を招くことにもなりかねません。
この記事では、多様なPMOの種類を体系的に理解できるよう、2つの主要な分類軸に沿って、それぞれの特徴と役割を詳しく解説していきます。この記事を読めば、自社に本当に必要なPMOの形を設計するための明確な指針が得られるはずです。
PMOの主な種類|組織内での「設置範囲」による3つの分類
PMOの種類を理解する上で最も基本的な分類が、組織のどこに設置され、どの範囲までを管轄するかという設置範囲による分類です。この分類では、PMOは主に「組織型」「部門型」「プロジェクト型」の3つに分けられます。
企業の規模やプロジェクトの特性、そしてPMOを導入する根本的な目的によって、最適な設置範囲は異なります。それぞれの特徴を正しく理解し、自社の状況と照らし合わせて検討することが重要です。
1. 組織型PMO(エンタープライズPMO)
組織型PMOは、特定の部署に属さず、経営層の直下などに置かれ、会社全体を対象として全社のプロジェクトを横断的に統括する最上位のPMOです。エンタープライズPMO(EPMO)と呼ばれることもあります。
主な役割は、全社で共通となるプロジェクト管理標準の策定と展開、複数プロジェクト間でのリソース配分の最適化、そして各プロジェクトの状況を取りまとめて経営層へレポーティングすることなどです。経営判断と現場のプロジェクト活動を直結させ、全社的な視点で最適な意思決定を可能にするという大きなメリットがあります。
2. 部門型PMO
部門型PMOは、IT部門、研究開発部門、マーケティング部門といった、特定の事業部や部門内に設置されるPMOです。その部門が管轄する複数のプロジェクト群を、専門的に支援・管理する役割を担います。
主な役割には、その部門独自の業務プロセスに合わせた管理手法の導入や、部門内で成功事例や失敗事例といったナレッジを共有する仕組みの構築などが含まれます。部門の専門性に特化しているため、その領域の業務内容や課題を深く理解した上で、きめ細やかなサポートを提供できるのが大きなメリットです。
3. プロジェクト型PMO
プロジェクト型PMOは、特定の大規模プロジェクトや、戦略的に極めて重要なプロジェクトのためだけに、期間限定で組成される専任のPMOを指します。プロジェクトが完了すれば、そのPMOは解散するのが一般的です。
主な役割は、担当する特定プロジェクトにおける進捗管理、課題管理、関係者調整、資料作成などを集中的に支援することです。一つのプロジェクトの成功だけにリソースを集中投下するため、PMに対して、迅速かつ手厚いサポートを実現できるというメリットがあります。
PMOのもう一つの分類|「機能・権限」による3つの種類
PMOの種類を考える上では、設置範囲とは別に、プロジェクトに対してどの程度の権限を持ち、どのように関与するかという機能による分類も非常に重要です。この軸では、PMOは主に「支援型」「管理型」「指揮型」の3タイプに分けられ、プロジェクトへの影響力が大きく異なります。
この機能・権限による分類は、先ほどの設置範囲による分類と組み合わせて考えられます。例えば、「組織型PMOでありながら、機能は支援型に徹する」といったケースもあれば、「プロジェクト型PMOだが、強力な指揮権を持つ」といったケースも存在します。
1. 支援型PMO
支援型PMOは、プロジェクトチームからの要望に応じて、標準的なテンプレートや過去の類似プロジェクトの事例、業界のベストプラクティスといった情報を提供する、受動的な支援を中心とするPMOです。
権限レベルは低く、プロジェクトの重要な意思決定に直接関与することはありません。あくまでPMやチームをサポートする「縁の下の力持ち」に徹し、プロジェクト運営を円滑にすることが主な役割となります。
2. 管理型PMO
管理型PMOは、支援型の役割に加え、組織で定められた標準プロセスや管理手法に各プロジェクトが準拠しているかを監視・コントロールする役割を担います。プロジェクトの「監査役」のようなイメージです。
権限レベルは中程度です。プロジェクトの進行状況を定期的にチェックし、標準プロセスからの逸脱が見られた場合には、是正を求めるといった一定の統制権限を持ちます。組織全体のプロジェクト品質を一定水準以上に保つことを目的とします。
3. 指揮型PMO
指揮型PMOは、PMO自体がプロジェクトを直接的に管理・遂行する、最も権限の強いPMOです。プロジェクトチームに対して強い影響力を持ち、実質的にプロジェクトをリードしていきます。
権限レベルは高く、PMOがPMを任命したり、プロジェクトの継続・中止といった重要な判断に直接関与したりすることもあります。PMの経験が浅い場合や、プロジェクトが危機的な状況に陥っており、強力な立て直しが必要な場合に導入されることが多いタイプです。
自社に最適なPMOの種類を選ぶための3つのステップ
これまで見てきたように、PMOには多様な種類があります。自社に最適なPMOを導入するためには、以下の3つのステップで検討を進めるのが効果的です。
Step 1: PMOを設置する目的を明確にする
まず最初に、「なぜPMOを導入するのか」「PMOによって何を解決したいのか」という目的を具体的に定義します。例えば、「経営層へのプロジェクト報告が遅れがちで、迅速な経営判断ができていない」という課題があるなら、組織型PMOの設置が選択肢になるかもしれません。
また、「現場のプロジェクトの品質にばらつきがある」のが課題なら、管理型の機能を持つPMOが有効でしょう。この目的が、PMOの種類を決める出発点となります。
Step 2: PMOに与える権限と責任範囲を定義する
目的が明確になったら、次はその目的を達成するためにPMOにどこまでの権限を持たせ、どこまで責任を負ってもらうのかを具体的に定義します。現場のプロジェクトチームや既存の部門長との役割分担を曖昧にしたままPMOを導入すると、無用な対立や混乱を生む原因になります。
情報収集と助言のみを許可するのか、プロセスの遵守を徹底させる権限まで与えるのかなどを、関係者とすり合わせて明確にすることが重要です。
Step 3: 小さな範囲・機能から始めて段階的に拡大する
最初から全社規模で、強力な権限を持つPMOを立ち上げるのは、多くの場合困難を伴います。まずは、特定の重要なプロジェクトを対象とした「プロジェクト型」かつ、要望に応じてサポートする「支援型」のPMOから始めるなど、スモールスタートで成功実績を積むのが定着への近道です。
小さな成功を積み重ねることで、組織内でのPMOへの理解と信頼を醸成し、段階的にその適用範囲や権限を拡大していくのが現実的なアプローチです。
まとめ
本記事では、PMOの主要な種類について、設置範囲による3つの分類(組織型・部門型・プロジェクト型)と、機能・権限による3つのタイプ(支援型・管理型・指揮型)という、2つの軸から詳しく解説しました。
重要なのは、これらの種類に優劣はなく、企業の目的や組織文化、プロジェクトの成熟度によって最適な形が異なるという点です。自社に最適なPMOを導入するためには、まず「PMOで何を成し遂げたいのか」という目的を明確にすることが大切です。この記事で紹介した3つのステップを参考に、ぜひ貴社に合ったPMOの形を検討し、組織全体のプロジェクト遂行能力の向上に繋げてください。
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