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サプライチェーンリスクとは?サイバー攻撃の手口とセキュリティ管理の対策手法を解説!

サプライチェーンリスクは、サイバー攻撃による被害の増加などにより、近年懸念が高まっています。
サプライチェーンリスクを低減するには適切な対策が必要です。本記事ではサプライチェーンリスクの原因を踏まえ、効果的なセキュリティ管理と対策手法を解説します。

目次

  1. サプライチェーンリスクとは?
  2. サプライチェーンリスクが起こる原因は?
  3. サプライチェーン攻撃の手口
  4. サプライチェーンリスクが発生した場合の影響
  5. サプライチェーンリスクを軽減させるセキュリティ管理の対策手法
  6. サプライチェーンリスクの対策をしよう

サプライチェーンリスクとは?

 この章ではサプライチェーンリスクについて解説します。

サプライチェーンリスクの概要と情報セキュリティとしてのサプライチェーンリスクの2つのポイントを解説します。

サプライチェーンとは

サプライチェーンとは、製品やサービスが最終的に消費者に届くまでの一連のプロセスです。原材料の調達から製品の製造、配送、そして消費者への販売まで含まれます。

サプライチェーンは、多くの異なる企業や組織が関与している点が特徴です。

自社メーカーのサプライチェーンの場合、部材メーカー、物流会社、卸売業者、小売業者といった複数の関連会社が密接に連携しています。

情報セキュリティとしてのサプライチェーンリスク

情報セキュリティとしてのサプライチェーンリスクは、サプライチェーンを構成する関連企業や取引先などに起因するリスクが、サプライチェーン全体や一部に広がることを指します。

例えば、自社の情報セキュリティ対策が万全でも、サプライチェーンを構成するセキュリティ対策が脆弱な企業がウィルスに感染すると、自社を含めてサプライチェーン全体が被害を受けてしまうことがあります。

サプライチェーンでは、複数の企業や組織が密接に関わっているため、1ヶ所で発生した情報セキュリティのリスクが連鎖的に他の企業に影響し、重大な経済的被害や社会的信頼の低下を招くことがあるのです。

サプライチェーンリスクが起こる原因は?

サプライチェーンリスクの効果的な対策を検討するためにも、発生原因を理解することが重要です。

サプライチェーンリスクの原因として次の3つを解説します。

サイバー攻撃

サプライチェーンのサイバー攻撃は多くの場合、標的とする企業を直接攻撃せずに、比較的、情報セキュリティ対策が脆弱な取引先や委託企業を攻撃し、そこを踏み台にして、標的企業を攻撃する手法がとられます。

攻撃には、ウィルスであるマルウェアが多く使用され、攻撃者はメールサーバーなどへ侵入して標的企業との接点を特定し、ネットワーク内に侵入する手段を見つけ出し、目的の情報を盗みだしたり、改ざんをするのです。

もう1つのサイバー攻撃の方法として、ITやIoTデバイス、システム、あるいはソフトウェアの製造段階でマルウェアを注入するといったバックドアの設置があります。

攻撃者は、バックドアによって標的企業のサーバーやシステムに認証なしで侵入ができるようになり、システム改ざんやデータの抜き取りをします。

この攻撃は、アップデートのプロセスを利用して実行されることもあります。

内部不正

内部不正は、組織内部の人物による情報の不正アクセス、データの盗難・漏洩やシステムへの不正な変更などが含まれます。

例えば、組織内の従業員が、個人的な利益のために、機密情報や知的財産を不正に利用するケースです。

また、委託先企業の従業員による、顧客データ、製品設計、財務情報など重要な情報の外部への漏洩や盗難といったリスクへも対策が必要です。

操作ミス

 操作ミスもサプライチェーンリスクの原因の1つです。

例えば、誤って機密情報を外部に漏洩させる、誤ったセキュリティ設定、不適切なファイル共有設定、パスワード管理のミスなどが含まれます。

サプライチェーン内での操作ミスは、組織間で情報が密に頻繁にやり取りされるため、サプライチェーン全体への影響リスクが高くなります。

サプライチェーン攻撃の手口

 サプライチェーン攻撃はどのようにして行われるのでしょうか。

効果的なセキュリティ対策をとるためには、サプライチェーン攻撃の手法を理解することが大切です。

取引先などを介した手口

 攻撃者は、標的企業の取引先などを通じて、サイバー攻撃を仕掛けます。

取引先企業のセキュリティ対策が脆弱な場合、攻撃者はこの弱点を突いて標的企業に侵入を試みるのです。

例えば取引先になりすましたり、取引先のシステムへ侵入して標的企業にアクセスして、マルウェアを仕掛けたりします。

ソフトウェアなどを介した手口

 ソフトウェアや更新プログラムもサイバー攻撃の対象となります。

攻撃者は、ソフトウェアの開発会社や提供元へ不正アクセスを行い、ソフトウェアや更新ファイルにウィルスや不正コードなどを混入するのです。

こうして、ソフトウェアを利用するユーザーや企業へ、ウィルスなどの被害が広がります。

サプライチェーンリスクが発生した場合の影響

 サプライチェーンリスクが発生した場合、サプライチェーンが機能不全に陥り、様々な弊害が発生します。

例えば製造業であれば、製造の中断による納期遅れや生産量低下などにより、企業の業績悪化につながります。

また顧客情報の漏洩などが発生した場合、社会的な問題に発展し、多大な損害賠償の責任が発生することもあります。

サプライチェーンリスクを軽減させるセキュリティ管理の対策手法

 サプライチェーンリスクは企業に甚大な被害を与える可能性があります。そのため、リスクを軽減させる対策が必須といえるでしょう。この章では、具体的な対策手法を解説します。 

情報セキュリティの組織全体の強化

 組織全体でセキュリティ業務の管理と運用をすることが必要です。

例えば、会社の端末を常に最新OSへアップデート、セキュリティソフトの全PCへの導入や情報資産の重要度に応じた管理などが挙げられます。

また業務委託会社を利用する際は、指令系統をはっきりさせ、秘密保持やインシデント発生時の責任分担、遵守するルールを契約書で取り決めることも有効でしょう。

人的セキュリティへの対策

 内部不正によるサプライチェーンリスクを防ぐには、人的セキュリティ対策も充実させる必要があります。

例として、不正防止のための業務手順書の作成、従業員へセキュリティ遵守の誓約書の提出や定期的なセキュリティ研修の実施などが有効です。

取引先との連携強化

 サプライチェーンリスクの対策は、自社だけでは不十分で、取引先まで含めたサプライチェーン全体において適切な対策が必要です。

例えば、企業間の横断的なセキュリティ対策や遵守するルールの策定などです。

また、取引先とセキュリティリスクに対する責任範囲を設定することも重要といえるでしょう。

BCPの策定

 BCPは、災害や事故など予期せぬリスクが企業に及ぼす影響を最小化し、事業活動を迅速に再開するための指針を定めた事業継続計画です。

効果的なBCPの策定には、サプライチェーン全体を見据えた内容にすることが必要です。

BCPを事前に作成しておくことで、想定外の事態や緊急時でも、損害を抑えつつ、事業を速やかに回復できます。

リスク分散

 サプライチェーンリスクの対策としては、特定の企業だけに依存するのではなく、複数の取引先を確保するなどのリスク分散が有効です。

例えば、特定の取引先からの供給が中断された場合でも、迅速に代替品などを調達できるよう複数の調達先を確保しておくことが挙げられます。

サプライチェーンリスクの対策をしよう

サプライチェーンでは複数の企業が密接に関わっています。そのため、サプライチェーンリスクによる被害は、連鎖的に甚大な被害をもたらすことがあります。

こうしたサプライチェーンリスクを低減するためには、適切な対策が必要です。

サプライチェーンリスクの特徴や原因を理解して、万全なセキュリティ管理の対策をしましょう。

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