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プロジェクトライフサイクルとは?種類やフェーズごとの注意点など解説!

プロジェクトライフサイクルとは、プロジェクトを計画的かつ効率的に管理する手法です。プロジェクトは多数の要員が参画する複雑な活動ですが、プロジェクトを進めやすいように分割します。プロジェクトライフサイクルを活用して、プロジェクトを効率よく成功に導きましょう。

目次

  1. プロジェクトライフサイクルとは
  2. プロジェクトライフサイクルのメリット
  3. プロジェクトライフサイクルの種類
  4. プロジェクトライフサイクルのフェーズ
  5. プロジェクトライフサイクルの注意点
  6. プロジェクトライフサイクルまとめ

プロジェクトライフサイクルとは

プロジェクトライフサイクルとは、複雑なプロジェクトをフェーズごとに分割し、計画的かつ効率的に管理する手法です。

プロジェクトを5種類のフェーズに分け、各フェーズで実施する内容を明確にすることで、プロジェクトマネージャーがどのようにプロジェクトを進めればよいかわかりやすいようにします。このようにプロジェクトライフサイクルは、プロジェクトを成功させるための手法として用いられます。

PMBOKにおける定義

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、プロジェクトマネジメントの世界標準ともいえるフレームワークで、プロジェクトマネジメントにおける知識やベストプラクティスが体系化されています。

PMBOKではプロジェクトライフサイクルを、プロジェクトが開始から終了に至るまでの一連のフェーズと定義しています。

ISO21500における定義

ISO21500は2012年9月に発行されたプロジェクトマネジメントの国際標準です。表題は「Guidance on project management」となっており、プロジェクトマネジメントの手引きともいえる国際標準です。

ISO21500ではプロジェクトライフサイクルを、プロジェクトの開始から終了までが定義されたフェーズの集合と定義しています。

プロジェクトが通るプロセス

プロジェクトが通るプロセスとしては、開始フェーズ、計画フェーズ、実行フェーズ、管理フェーズ、完了フェーズの5種類があります。この各フェーズにはそれぞれ関わる人員が異なります。

また、開始フェーズ、計画フェーズ、完了フェーズは比較的少ない人数ですが、実行フェーズ、管理フェーズは関わる人数が多いという点が特徴です。

フェーズ

主なターゲット

開始フェーズ

顧客、経営層、プロジェクトマネージャー

計画フェーズ

経営層、プロジェクトマネージャー、プロジェクトリーダー

実行フェーズ

プロジェクトマネージャー、プロジェクトリーダー、チームメンバー

管理フェーズ

プロジェクトマネージャー、プロジェクトリーダー

完了フェーズ

顧客、経営層、プロジェクトマネージャー

プロジェクトフェーズの集まり

プロジェクトライフサイクルは、各プロジェクトフェーズの集まりと考えることも可能です。プロジェクトは大規模なものになると、数年を要するものがあります。大規模プロジェクトを管理し続けるには、高度な管理能力が必要です。

そこで、各フェーズをそれぞれ単独のものと位置づけ、成果物(ゴール)を設定し分割します。分割すれば、複雑なプロジェクトもシンプルなフェーズの連続として着実に進めることが可能になります。これは、各フェーズの成果物を次のフェーズのインプットにするという工夫で実現可能です。

プロダクトライフサイクルに含まれる

プロダクトライフサイクルとは、「企業がその業界に進出してから撤退するまで」を指します。よって、プロジェクトライフサイクルは、プロダクトライフサイクルに含まれると言えます。

企業にとって、プロダクトライフサイクル内における、製造やサービス提供といった企業活動は、全てプロジェクトの1つです。

プロジェクトライフサイクルのメリット

プロジェクトライフサイクルは、プロジェクトの推進においてさまざまなメリットをもたらします。ここではプロジェクトライフサイクルによるメリットを3つ紹介します。

コスト削減

メリットの1つはコスト削減です。例えば、開始フェーズや計画フェーズの段階では、プロジェクトチームの参集はまだ必要ありません。

また、開始フェーズの段階でプロジェクトを実施しない判断になった場合、計画フェーズ以降の作業は全て無駄になります。このようにプロジェクトライフサイクルの導入により、無駄な作業がなくなりコストの削減が見込めます。

プロジェクトの効果的な実施

プロジェクトの効果的な実施もメリットの1つです。各フェーズで必要なリソースが明確になっているため、フェーズごとのボリュームが小さくなり管理しやすくなります。

結果として、プロジェクト全体を把握しやすくなり、プロジェクトを計画的かつ効率的に実施できるようになります。

リスクマネジメント

リスクマネジメントもメリットの1つです。例えば、開始フェーズでは顧客からの要求仕様があいまいなリスクがあります。実行フェーズでは要員のリソース不足がリスクです。

このように各フェーズのリスクが異なるため、フェーズごとに準備するリスク管理も異なります。このようにフェーズごとに分けると、対応するリスク対策を限定できるため、プロジェクトライフサイクルはリスクマネジメントにもなるのです。

プロジェクトライフサイクルの種類

プロジェクトライフサイクルには、さまざまな種類があります。進めていくプロジェクトにより、適切な種類のプロジェクトライフサイクルの選定が重要です。ここでは、プロジェクトライフサイクルの種類を紹介します。

予測型プロジェクトライフサイクル

プロジェクトライフサイクルの種類の1つに、予測型プロジェクトライフサイクルがあります。予測型プロジェクトライフサイクルの特徴は以下の通りです。

  • プロジェクトの開始前に、すべての作業を詳細に計画する
  • 計画に基づいて、作業を順番に実行する
  • 変更は基本的に認められない
  • 進捗状況を監視し、必要に応じて計画を調整する

予測型プロジェクトライフサイクルは、ウォーターフォールモデルでよく用いられます。開始フェーズで顧客要件を確定するため、計画フェーズ以降の要件変更は基本的に受け入れられません。

予測型プロジェクトライフサイクルは、要件や技術的な変化が少ない場合によく用いられます。

反復・漸新型プロジェクトライフサイクル

プロジェクトライフサイクルの種類の1つが、反復・漸新型プロジェクトライフサイクルです。

反復・漸新型プロジェクトライフサイクルでは、開始フェーズと完了フェーズは他の種類のプロジェクトライフサイクルと変わりませんが、計画フェーズ、実行フェーズ、管理フェーズを以下のように進めます。

  1. プロジェクトを小さなサイクルに分割する(イテレーションとも呼ばれる)
  2. 分割したサイクルで計画フェーズ、実行フェーズ、管理フェーズを実施する
  3. 分割したサイクルが完了するたび、成果物をレビューし、フィードバックする
  4. フィードバックの結果を受けて計画を変更し、次のサイクルに進む

結果をフィードバックしながら、小さいサイクルを繰り返します。この反復・漸新型プロジェクトライフサイクルのメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット

デメリット

変化に柔軟に対応できる

計画性と統制性が低くなる

早期に成果物をリリースできる

全体的な進捗状況を管理するのが難しい

ユーザーのフィードバックを取り入れやすい

コミュニケーションが重要になる

リスクを早期に発見し、対応できる

コスト管理が難しい

反復・漸新型プロジェクトライフサイクルは以下のようなプロジェクトに向きますが、管理には一定のスキルが必要になります。

  • 要件が明確ではないプロジェクト
  • 変化が予想されるプロジェクト
  • ユーザーのフィードバックを取り入れたいプロジェクト
  • リスクの高いプロジェクト

適応型プロジェクトライフサイクル

プロジェクトライフサイクルの種類の1つに、適応型プロジェクトライフサイクルがあります。基本的には、反復・漸新型プロジェクトライフサイクルと同じですが、サイクルを回す期間が非常に短いのが特徴です。

変化に対し迅速に対応できますが、変化する顧客要求に対応するため、顧客とのコミュニケーションが非常に重要になります。適応型プロジェクトライフサイクルの主な手法としてはアジャイル開発があります。

デメリットとしては、変化が多いためプロジェクトの全体像の把握が困難な点です。また、短い期間で成果物を生成するため、品質の確保も非常に難しくなります。

プロジェクトライフサイクルのフェーズ

プロジェクトライフサイクルは、プロジェクトをフェーズに分割して計画的かつ効率的に推進していきます。ここではプロジェクトライフサイクルで分割するフェーズの種類と役割を解説します。

開始フェーズ

開始フェーズは、当該プロジェクトを実施するかを判断するフェーズです。顧客要件を詳細に確認したのち、リソース、期間、予算に問題がないか、実現が可能かを慎重に精査します。

PMO(Project Management Office)を開催し、レビューするのも良いでしょう。プロジェクトを実施するかを、会社として判定します。ここで承認されればプロジェクトが開始になります。

計画フェーズ

計画フェーズではプロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーを任命しプロジェクトの計画を作成します。詳しくは以下の通りです。

  • 成果、期限、目標を設定する
  • タスクを抽出し細分化する
  • タスクをWBSなどに落とし込む
  • リスクを想定する
  • スケジュール、リソース、コストを算出する

上記を取りまとめ、プロジェクト開発計画書を作成し、関係者に周知します。プロジェクトが長期間になる場合は、スコープだけでなくマイルストーンを設定することも有効です。

実行フェーズ

実行フェーズは、実質的なプロジェクト活動です。プロジェクト開発計画書に従い、各種設計や開発を行います。途中でさまざまな問題やリスクが発生しますが、PM、PL、チームメンバーが協力しあい、問題を解消しながらプロジェクトを進めていきます。

実行フェーズでは生成した成果物の品質チェックも必要です。プロジェクトメンバーはスキルも経験も様々なため、品質は常に一定になりません。各種テストやレビューを実施し、一定以上の品質を確保しているかチェックします。

管理フェーズ

管理フェーズは実行フェーズと同時進行で進みます。具体的には実行フェーズでのタスク管理、スケジュール管理、リスク管理等です。これらを管理し、問題が発生した場合は、問題を分析し対処方法を立案します。

場合によっては、増員や工程の組み換え、スケジュールの調整などを行います。管理フェーズでは、タスクやリソースの管理はもちろんですが、メンバーのモチベーション管理も必要です。

完了フェーズ

完了フェーズでは、成果物を顧客に納品し、プロジェクトとしてのQCD(Quality-品質、Cost-コスト、Delivery-納期)を達成したか判定します。

また、プロジェクトで発生した問題やリスクを分析し、これからのプロジェクトで同様な事象が発生しないように、全社へ共有します。以上をもって、クロージングミーティングを開催し、プロジェクトの振り返りを行ったうえでプロジェクトは完了です。

プロジェクトライフサイクルの注意点

プロジェクトライフサイクルは、プロジェクトを各フェーズに分割し、計画的かつ効率的に管理します。管理はしやすくなる一方、フェーズごとにおさえておくべき注意点があります。ここでは各フェーズの注意点を紹介します。

開始フェーズの注意点

開始フェーズでの注意点は、顧客要件の詳細な確認です。理由は、顧客要件があいまいな場合、プロジェクトの目標や目的、成果物もあいまいになるためです。

顧客要件のあいまいさは、後の工程で何らかの変更を生み、プロジェクト遅延の可能性となります。顧客要件をしっかり固めるため、要件を提案書や仕様書といった形で顧客に提示し、要件が途中で変わらないように共通認識を持つことが重要です。

計画フェーズの注意点

計画フェーズでの注意点は、計画漏れを防ぐ点です。計画フェーズでは、目標や成果物の設定、タスクの分割、リスクの洗い出し、スケジュールの作成を行います。

計画フェーズでの計画漏れは、プロジェクトの遅延につながるため注意が必要です。計画フェーズでの計画漏れを防ぐために、有識者によるレビューが有効な対策になります。

実行フェーズ・管理フェーズの注意点

実行フェーズ・管理フェーズの注意点は3点あります。1つ目は計画したタスクが正しく進捗しているか、スケジュールに遅れがないかを確認する点です。特に、依存関係にあるタスクは管理が難しいため、ガントチャートなどを利用して、確実に管理する必要があります。

2つ目の注意点は、問題や新たなリスクが生じていないかをチェックする点です。これらはプロジェクトの遅延に直結するため、いち早い対応が必要になります。

3つ目の注意点は、コミュニケーションが取れているか確認する点です。実行フェーズはプロジェクトメンバーが多数参画するため、良好なコミュニケーションを保つことが非常に重要です。

完了フェーズの注意点

完了フェーズの注意点は、プロジェクトで発生した問題やリスクの分析、解決方法を取りまとめ、全社に共有する点です。

プロジェクトで発生した問題やリスクが、今後のプロジェクトで発生しないように共有する必要があります。だれでも確認できるような、全社のナレッジに登録するのも良いでしょう。

プロジェクトライフサイクルまとめ

プロジェクトライフサイクルとは、複雑なプロジェクトをフェーズごとに分割し、計画的かつ効率的に管理する手法です。プロジェクトを管理しやすくなるため、経験の浅いPMやPLを育成する手法としても用いられます。

プロジェクトライフサイクルをうまく活用し、プロジェクトを成功に導きましょう。

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